思いが先行してしまっていて、映画の完成度はイマイチに感じる。
現実は小説より奇なり、と言われるように、口で説明するより残酷であることはままあるが、それでも浮沈はある。
本作はあまりにも救いがなさすぎて、かえって現実味がなくなっている。
普通に生きていて、道徳的であると思う場面があまりにも少なすぎる。
ちょっと前までは、若者は電車の座席を高齢者に譲らないなどと言われていたが、もうそれは当たり前になって新しい段階に入っている。
大人も性犯罪や不倫スキャンダルなど、社会のタガが外れているとしか言いようがない。
このような状況でいじめが防げるだろうか。
いじめの残虐さをあげつらっても意味がない。
いじめているときに、その行為について当人が深く考えているわけがない。
大事なのは、そもそもいじめに至らせないことであるし、起こってもエスカレートさせないということである。
あの父親では、いじめが起こっても適切に対応できない。
早くに養育能力がないとの判断を下さなければならない。
学校制度もなにもかも、まずは根底の哲学から組み上げる必要がある。
今の社会には思想がなさすぎる。
だから拝金主義に簡単に飲み込まれるのだ。