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バビロンのおっとっとのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
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次のシーンに変われば、180°違った場所に連れて行かれるのは『インヒアレント・ヴァイス』か『アンダー・ザ・シルバー・レイク』か。(ロス/美女に誘われてを取ればより後者か)。

主人公が主人公ではない(観客の視点の代替となる)のもギャツビー的と言って仕舞えばそれだが、うーん。それは物語的に成功しているのだろうか…

許せなかったのは、マーゴットとブラピのバカ大盛り演技に合わせた結果、私の大好きな素晴らしい女優であるキャサリンウォーターストーンも馬鹿みたいにド下手みたいな役者に見えて、それは本当に悔しくて泣いた。

あと最後らへんのキスシーンでフィルミングされた映像は、コマが少ないものとして流れたけど、無声映画のコマ数は、ただモノクロ映画とさせただけで、コマ数少なくなかった?なんか色々雑じゃな〜い?…

メンデスにスピルバーグがそれぞれ映画館/半生にスポットを当て、ハリウッドor映画讃歌をこのタイミングで作り出したのも、コロナと配信勃興時代の現在なんら疑問はないが、チャゼルが本作で捧げた「映画」はあまりにも莫大過ぎ、そこまで風呂敷を拡げられるとシンプルに、「あなたに言われても、、、、?」の一言に尽きる。

思えばチャゼル自身のフィルモグラフィーは面白いもので、うるさい(セッション)、うるさい(ララランド)映画を作り大ヒットを収めた彼は、静かな映画を作り出す(ファーストマン)が大失敗。そして満を持して生み出された本作は、有り体に言ってバカくそアホみたいに五月蝿い。そこから、学んだのは「映画はうるさくなくてはいけないのだ!」なのかチャゼル???????

(ファーストマンの苦しかったところは、ほぼ同時期に発表されたクレールドゥニやジェームズグレイ作品が人間が「個」となったときの、本能的な面を興味深く描き出したのに対し、ファーストマンは原作がそうさせたのかもしれないけど、”国に捧げる犠牲”に重きを置かれたのは、古臭くあまり共感を呼ぶものでもなかった。(それを懲りずにやってるのが「アバター」だと思うけど、それは同時に国粋主義の爆増が顕著となる現在、アバターが受け入れられる事実は、本当に笑っていられない。)
ゴズリング演じる主役の妻、クレア・フォイに焦点を当て、当時のただただ夫を待つ妻を描き出したらば「ジャンヌ・ディエルマン」的でめちゃくちゃ面白かったと思う。)

「ドントウォーリーダーリン」は、みんなが馬鹿貶すほどに悪くなかった、という気持ちだったけど、本作は馬鹿貶しても足りないくらいな気持ちになっている。running timeが長いから悪いところが次から次へと…はぁ。カメラも全然良くなかった。狂乱も左右に振るばかりな印象だった。
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