氷雨水葵

バビロンの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.2
2023年21本目

18禁に思えなくもないけど…

◆あらすじ
すべての夢が叶う場所、1920年代のハリウッド。

サイレント映画のトップスター、ジャック(ブラッド・ピット)は、今日も豪華なパーティーで主役だ。

そんななか、大スターを夢見る新人女優ネリー(マーゴット・ロビー)と、映画製作を夢見る青年マニー(ディエゴ・カルバ)は運命的な出会いを果たすが―――。

◆感想
デイミアン・チャゼル監督作品ということで観てきました!!正直『ラ・ラ・ランド』はあまり刺さらなくて、『セッション』はブラムハウス制作ということで至高の映画でした。そして、本作はというと個人的には『ラ・ラ・ランド』より面白いです!まぁ一言でいうなら、あの作品を最高に下品にした感じ。いろいろモザイクはかかってるし、露骨なシーンも多数あり、序盤から’’アレ’’や’’コレ’’やでゲロ大量生産なので、観る人を選びそうではあります…。バレンタインデー近いし、カップルで観てぜひ気まずくなってほしい。

100年前の映画業界はひどかったというのを、まざまざ見せられるので、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』っぽい感じも。「うわぁ…」とか「昔の映画業界は大変だったのね」と思うところはたくさんあるけど、でもあの時代があったからこそ、今私たちはこうやってハリウッド作品観れてるのかも、とも思わなくもない。笑えるシーンとシリアスなシーンの緩急がよかったです。音楽のつけ方も上手くて、そこは『セッション』っぽい。てか、テーマソング(?)の『Voodoo Mama』めっちゃかっこいい曲。作中で何度か流れますが、思わずノリたくなる曲でした。耳に残るので爆音上映とか良いんじゃないでしょうか!?『Call Me Manny』のテンポ感も好きだな~ぜひアカデミー賞作曲賞をJustin Hurwitzに!!

正直、3時間という時間を感じさせない内容だったと思います。ただ、序盤・中盤にかけて描ききった感があったので、終盤は少し退屈でした。テンポよく進んでいたけど、失速した印象。でも、終盤で数々の名作のあのシーンが流れるのはよかったです。今作はパラマウント映画のはずなのに、ユニバーサル作品がいくつかありました(笑)気になる人は劇場で。

さて、俳優陣の演技はというと、個人的にはマーゴット・ロビーとトビー・マグワイアがめっちゃ良かったと思います!映画のなかで映画を撮るって、ごちゃごちゃになりそうだけど、ネリー役のマーゴット・ロビーは見事に演じ切っていました。なんでスターを夢見る女性のこういうストーリーって、絶対幸せになれないんだろうね…。ネリーが金持ちたちに、心の底から暴言を吐いたシーンはスカッとしました。まぁそのあとにゲロも吐いてるけど。
そして、トビー・マグワイアね。登場時間はそんなに長くないものの、ハリウッドの裏の世界を牛耳るジェームズ・マッケイ役で登場。なかなか強烈な印象を与えてくれたキャラクターでした。一瞬、白塗りで「誰!?」って思ったけど、ネジが何本か飛んだようなヤバさはかなり好み。
てか、ブラピもディエゴ・カルバも演技よかったよ!ブラピ演じるジャック・コンラッドが、映画を誰よりも愛しているのが伝わってきたし、映画製作を夢見るマニーを演じたディエゴ・カルバ最高にイケメンやった。終盤は人生めちゃくちゃだったけど、キノスコープで働いてた事実は変わらないよ。
あと、ジョヴァン・アデポリ演じるシドニーの活躍を観てほしいです!!パーティーを盛り上げるのに一役も二役も買っているし、演奏の才能を見いだされ銀幕デビューも果たし、脇役なのにめっちゃいいキャラクターでした。

映画を愛している人にぜひ観てほしい作品。監督や演者はもちろんだけど、裏方や間接的に映画に関わっている人がいてこそ「映画」が成り立っている、ということがわかる映画でした(ややこしい)。デイミアン・チャゼル監督が、いかに映画をリスペクトしているか、夢追う人たちのことをどんな形で描きたかったのかがわかると思います。時には派手にセクシーに、でも残酷な現実もあって、そこがまた観てて面白いところ。

映画って素晴らしい
氷雨水葵

氷雨水葵