たんぐすてん

バビロンのたんぐすてんのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.2
視聴通算494作目 2023/50作目、映画館鑑賞18作目 2023/2/15 映画館

サイレントからトーキー、そして現代へ

映画の始まりは無声で、俳優は表情と仕草で演技をしていた。
その中で大スターが生まれ続けたが、ワーナーが『ジャズシンガー』にて発生映画を作る。
これは民衆の支持を受けることになり、発生映画が普及するようになる。
サイレントでスターになった俳優たちは世間がトーキーになったことで台詞覚えや声を使った演技が求められることになる。
その中でトーキーに順応していく者、トーキーの時代について行けなくなり淘汰されていく者が現れることになる。
この流れを189分で描くは『ラ・ラ・ランド』のデイミアンチャゼル。
主演にブラッドピッドとマーゴットロビー を迎え、ハリウッドのサイレントの盛衰と時代の移り変わりをある意味リアルに描いた一作となっていた。

薬にセックス、暴力に酒と序盤の華やかな雰囲気が当時のハリウッドスターたちの輝きとどれだけハリウッド映画に出演することがすごかったのかを物語る。
ジャックは本当に大スターでパーティに行けば人が群がる。
さらに酒を浴びるほど呑んだ後でもカメラの前に立てば一流の演技を魅せる。
セットにて演技をするネリーは素晴らしく、涙を流すシーンは息を呑んだ。
しかし、トーキーへと移り変わった際には彼らの演技は笑われる対象となってしまう。
ジャックは礼儀正しいパーティでも人は群がらなくなり、台本通り、監督の指示通りに演技をしても劇場では笑われるばかり。
ネリーは礼儀のなさや下品さを見られるようになり、陰口を叩かれる。
2人の最後はどちらも凄まじい。
彼らは時代に順応できずに淘汰されていった者たちなのだ。
マニーに関しては、サイレント時の雑用からシドニーなどのスターを見出す監督として名を上げていく。
彼は順応できた者。
この対比的な3人は良くも悪くも絡み合い、最後にはサイレントの衰退とトーキーの成長を描いた『雨に唄えば』をマニーは鑑賞し涙する。

声無しから始まった映画産業は声が追加され、白黒からカラーへと移り変わり、今ではCG技術が発展し今では『マトリックス』や『アバター』などの3DCG映画が作られたりするまで成長した。
現代の映画を見ていくためにはトーキーにて淘汰された彼らのような人々や技術の発展に貢献した人々を知っていく必要があると感じ、私の映画の知識は「まだまだだな」と再実感した。

ここのレビューで上げてきた映画を全て鑑賞してから今作を見てよかった。
特に『ジャズシンガー』と『雨に唄えば』は本編に関わっているため見て本当に良かったと感じた。