ゆきんこ

ステップのゆきんこのレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
3.8
山田孝之がとにかく良かった。ストーリーも重松清原作なのですっと入って行けた。とても丁寧に描かれていて、それぞれの登場人物の心情がリアルなので、自分のこれまでの育児と重なって入り込みやすかった。
とにかく、義父が良い人で良い人でうちと比較するとかなり違ってて羨ましいーーーと思った。美紀ちゃんに対する保育士のケロ先生の言ってる事、義理の息子なのに本当の息子としてアドバイスしてくれる義父の言葉は愛情溢れていて深くて素晴らしかった。ケロ先生に美紀ちゃんが伝えた抱っこの言葉「パパの抱っこは、忙しい抱っこ」これには泣けた。他に不妊治療を断念した義理の兄夫婦の見守る温かさ、優しい義母、みんなに囲まれて美紀ちゃんと、パパの健一は困難にぶつかっても一つ一つ乗り越えて行く。
育児は育自とはよく言ったもので、子供を育てていると、同時に自分も育って行く。健一が困難にぶつかって行き少しづつステップアップして行く様は、昔不登校で息子の育児に苦しんだ時、素晴らしい先生と出会って支えられた事、実母がよく助けてくれた事などとオーバーラップした。(残念ながら義理両親は、神頼みで、変な祈祷で使った紙を飲ませろと言ったり、他もとんちんかんな事ばかりのアドバイスでそれが逆にストレスになった。)

子役は皆とても良かった。テセウスの船の佐野の娘役(鈴)だった白鳥玉季ちゃんはここでもやっぱり抜群に良い。広末涼子は、最初のシーンはわざとらしくて好きではなくて1時間位の所で一回冷めてしまったのだけど、死産で子供を亡くしたと告白するシーンと初めてお母さんと呼ばれて泣くシーンは良かった。(わざとらしい所作が所々目について情感こもったシーンはいいのに、普段のさりげないシーンでダメになる。)
国村隼さんは素晴らしい!余貴美子さんのちょっと疲れた感じの髪がほつれてる雰囲気の演出良かった。東京03の角田さんは演技上手いし、場を和ませる良い役柄。冒頭のケロ先生は明るくて、子供の心をよく解る素晴らしい保育士で伊藤紗莉がうまーく演じてた。上司の岩松了も部下を思い遣る味の有る上司役で立ち食い蕎麦のシーン多くてうけた。因みに店名そのままで出て来たこの蕎麦屋、十割蕎麦という事で、これに触発されて蕎麦を今夜食べようかと。
しっかし、この映画の父親役の山田孝之の演技は派手じゃ無い中で、間や表情、目で心の機微を表現してて本当に質の高い役者だと思った。泣くのを我慢して目が赤く充血してる所とか、ほんと凄い!!と感嘆した。
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