オンライン試写会にて
"家族"とひとことで言っても、さまざまなかたちがあり、いろんな関係性があり、そしてその中ではたくさんのことが起きる。
それに"普通"はないし、良し悪しも正解もない。綺麗というよりはでこぼこかもしれない。
この映画では、シングルファザー・片親であることで悩みながらも、ふたりが向き合って築いていく家族のかたちがあった。
周りから「父親だけで育てていけるのか」「母親にしかできないことがある」「お父さんが家事育児をするなんて変だ」「お母さんがいないから他の子にできることができない」と言われていたけれど、そんなこと周りがはかるものじゃない、と彼らを見ていたら感じた。
シングルでも、母親もしくは父親が2人でもそれ以上でも、子どもがいなくても、血が繋がっていなくても、婚姻状態になくても、彼らがそう感じたらそれは家族でいいじゃないか。彼ら以外には決められないのだから。家族は人をはかる材料にならないのだから。
そして彼らのように"普通"ではないがために"困難"を抱えているとき、そうしてしまっているのは社会のほうだと思う。幸か不幸かということや普通かどうかの評価も、金銭的にも、子育ての時間も、精神的にも、制度なども、困難にさせているのは間違いなく社会のほうだ。
それと最後に、もしこの映画が逆にシングルマザーだったとしたら描き方は変わっていたのだろうか？女は子育てや家事ができて当たり前、キャリアアップを諦めるのは仕方ないことだとされたのではないか？
この映画はただ父と娘のほっこりストーリーを描きたかったのだと思うけど、私は社会にあるひとつの課題としても受け取れるなと思った。
