キャサリン子

ステップのキャサリン子のレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
4.0
シングルファザーと娘の、10年間の成長を綴った軌跡の物語。
重松清の同名小説を実写映画化。

原作が好きなので、本作の公開を昨年からずっと楽しみにしていましたがコロナのせいで延期になり、今日やっと観ることができました。

冒頭からずっと涙が溢れて仕方なかったです。
序盤の、初めての保育園登園日で、泣かなかった娘に対し父の「2歳児なりに困らせてはいけないと思ったのかも知れない」の心の声。ここをスタートに、なんだかラストまでずっと泣いてた気がします。

小学生にして妙に大人びた表情や仕草、発する言葉全てが、子どもなりに父の負担にならないように気遣い、早く大人になろうとしているようでなんとも言えないやりきれない気持ちになりました。
そう。子どもって、大人が思っている以上に逞しくて、敏感なんだよなぁ。

人の気持ちを慮ることができるようになるってことは大人の階段を登り始めているということなんだけれど、それを心から喜べない父の気持ちもよくわかる。
手がかからなくなるのは、楽にはなるけれどとても寂しくもあるから。

子どもというのは、家族をはじめ周りの人からたくさんの愛情を注がれることで、優しくて真っ直ぐな子に育っていくんだということに改めて気付かされました。
たとえお母さんがいなくても、寂しいと思う気持ちを少しでも癒せたら…と周囲の大人が大事に成長を見守っている過程がとても優しかったです(小学校の担任は除く)。
特に、母方の両親と義兄夫婦には本当に頭が下がる思いでした。自分が悪人に思えてくるくらい、できた人達だったよ…(泣)

すくすく育つということの見本を示されたような、愛に溢れた素晴らしい作品でした。
感無量です。
キャサリン子

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