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トルーマン・カポーティ 真実のテープのaboのレビュー・感想・評価

3.0
カポーティがニューヨーク社交界を席巻した時代のアーカイブ式ドキュメンタリー。奇妙に高い声とスマートな毒舌、その奇才ぶりが人を惹きつけ・惑わし・怒らせる、アートのジャンルは違うけど、シャンソン歌手のセルジュ・ゲンスブールにどこか似ているなぁと思いながら、彼の放埒ぶりを堪能しました。

カポーティといえば、黒と白の舞踏会だったり、ティファニーで朝食だったりと、煌びやかな世界観が目立ちますが、彼が最後まで大切に持ち歩いていたのは、幼い頃に叔母さんが焼いてくれたジンジャーブレッドのクッキーだったそうです。ジンジャーブレッドのクッキーってそないに保つんかいという疑惑のツッコミはさておき(聞き間違いかな💦)、当時のニューヨーク社交界の寵児だった彼が本当に欲しかったのは、身近な人の体温を感じられるような素朴な暖かい繋がりだったのかもしれません。そう思うと、ちょっと切なくなりました。

雑誌や新聞のカバータイトル風に、カポーティのエピソードが紹介されてストーリーが進む手法、そのストーリーに寄り添うようなジャズ、作品自体もカポーティのようにスタイリッシュでした。観ないけど同じ空間で流しておきたい、そんな作品です。
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