カポーティの伝記映画。3人称の視点から語られる。カポーティが『与えられた祈り』で社交界のゴシップを暴露したのは、カポーティの母の弔いであったという大胆な仮説が提示される。
社交界は英語で「(high)society」だが、アーレントの「社会的なるもの the social」という概念はこれに由来している。『ラーエル・ファルンハーゲン』や『人間の条件』で述べられているが、上流社会では身だしなみから立ち振る舞いまで様々なルールを守らねばならず、そこでは全員が画一化する。そしてこれは、マルセル・プルーストが『失われた時を求めて』で皮肉っていることでもある。
カポーティが画一化に対して憤りを抱いていたかは定かでないが、社交界に対する批判的な姿勢はプルーストやアーレントと共通しているところがある。