オトマイム

とらんぷ譚のオトマイムのレビュー・感想・評価

とらんぷ譚(1936年製作の映画)
4.1
初ギトリ。監督による、ひょうひょうとした立て板に水の如きナレーションが病みつきになりそうなほど心地よい。

家族全員毒キノコで死んだのに盗みを働いた罰(食事抜き)によってただひとり生き残った少年。罪の意識を背負いながらも人生のいたずらによってイカサマ街道をつきすすむという、人を食ったようなエスプリの効いた喜劇。願望が裏目裏目に出る展開や、逆再生・瞬時の時間経過など遊び心に満ちたリズミカルな映像がたいへん楽しい。オープニングクレジットはジャン・コクトー作品を想起させる。(リーフレットによるとオーソン・ウェルズに影響を与えたとか)。あ〜なんておしゃれなの。一貫して主人公がニコリともしないのがまたなんともジワリとくる面白さ。マダムとのエピソードは『グランド・ブダペスト・ホテル』っぽい。