矢吹健を称える会

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

3.7
 そつなく的確に映し出される、オープニングのカーチェイスが傑作。『ベイビー・ドライバー』なんか目じゃない(比較するために改めて見直した)。さんざん爆走したあとに、坂道をそろそろ下りるあの緩急! 踏切を突っ切るのを(列車が来たために)いったん諦めてからの展開なんて「そうだよなァ!」って手を叩いて喜んでしまった。パク・ソダムがめちゃクールで最高だ。顔が(私の)妹に似ているので、毎度複雑な気持ちになるのだが。
 また、ラブホテルの受話器など、何やってんだろうと思う描写が後に活きてくるのも「シブイねェ~~~」となった。

 汚職警官ソン・セビョクのキャラクターも絶妙で良い。ある意味『最後まで行く』の主人公みたいなギリギリの役柄ながら、なんかこの人なりに美意識とか罪悪感とか(卓抜した技巧に対する)敬意とかを持っているような描写が、一筋縄ではいかなくて面白い。ラブホテルのエレベーターで「気づく」くだりも、「嗅覚」みたいなセンスを彼なりに発揮していると、納得しうるからこその展開だろう。ラストの往生際の悪さも良いですね。
 ただ、最後の最後はさすがに「?」となったが。