キラリ

星の子のキラリのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
3.8
“信じる”

宗教二世の葛藤と苦悩の物語。“カルト宗教”という非常にセンシティブな題材の作品だからこそ、興味深く、ひたすら見入ってしまった。“宗教”という難しいテーマに対し、それを肯定するでもなく、否定するでもなく、この映画をどう捉えるかはすべて観る者の想像力と価値観に委ねられているような、そんな余白の多い作品だった。実際に、劇中ではセリフも多くなく、沈黙の間も多い。宗教にのめり込む理由は人それぞれだと思うし、おそらく多くの場合は救済を求めて宗教にすがったのだと想像するのだけれど、信じたことでかえって社会から隔てられ、結果的に生きづらくなることが多いのだという現実を本作で突き付けられて、なんだか胸が締め付けられるような非常に苦しくなる映画だった。

思春期を迎えた主人公ちひろの揺れ動く感情を繊細に表現した芦田愛菜も非常に良かったし、両親を演じた永瀬正敏と原田知世、そして教師役の岡田将生、宗教団体のメンバーである高良健吾と黒木華、さらには姉役の蒔田彩珠も雄三おじさん役の大友康平もみんなキャスティングが見事にハマった素晴らしい作品だったと思う。
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