「ちひろだけが、大好きな両親を信じた」
「この感動をあなたと」
いやそんな映画じゃなかったよ?笑
わかりやすい感動映画を期待していた人は拍子抜けしたのでは、、、
思いのほか難しい映画だった。
ストーリーがおもしろいという類の映画ではないし、ジャーンと音楽が鳴って感動を盛り上げる涙涙のシーンがあるわけでもない。
ただただリアルに、淡々と、信仰をめぐるさまざまなシチュエーションが描かれる。
日頃、たとえばイスラム教についてはイスラム教=過激な思想という先入観は正しくない、とか、キリスト教や仏教については信仰の自由を尊重しよう、などと言われる。
では、馴染みのない新興宗教を信じる人が身近にいたらどうだろう。
すんなり受け入れられるだろうか?
信者たちが夜の公園で見たこともない謎の儀式を行なっていたら?
家族が入信して人が変わったようになってしまったら?
科学的にナンセンスなものを頑なに信じて疑わなかったら?高価な水や水晶を買ってきたら?
自分や周りの人にも勧めてきたら?
信仰を持つ人。持たない人。信仰を否定する人。否定しない人。どちらでもない人。
この映画はそのいずれも否定せず、肯定もしない。
視点のバランスが絶妙だなぁ、と思う。
みなそれぞれに想いがあり、誰が正しいわけでもない。
信仰って何なんだろう?
プラセボ効果とどう違うのか?
どこからがカルトや悪徳商法なのか?
ある人にとって、それがなければ生きていけないほど大切なものを他人が否定できるか?
家族を引き裂く宗教って何の意味がある?
信仰が先か、奇跡が先か?
宗教において「神の導き」のようなものがあるとすれば、信じるか信じないかという人間の自由意志はどこまで存在するのか?
次々と、疑問が湧き上がる。
答えは、でない。
でないから、わたしたちはただ寄り添って星を眺めるしかないのかもしれない。
原作、読んでみます。