サリエリコ

星の子のサリエリコのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
4.0
原作既読。『星の子』はそこまでではないけれど、今村夏子が大好きです。
原作ありの映画として、かなりの成功作だと思う。だから星4つ。

小説を読んでいた時の感情と、映画を観ている時の感情が殆ど同じだった。不安、不穏、悲しい、優しい、あったかい、おかしい、そして怖い。ちゃんと今村夏子の作品だった。
特にラストの星を眺めるシーン。あそこは何故かものすごく怖くもあるんだけど、後ろからのショットが完全に原作のそれで、ため息が漏れました。
監督の今村夏子へのリスペクトが感じられて、今村夏子のファンとして嬉しい作品でした。

原作未読だとどうかなぁ?わたしは映画単体としてなら、そこまで好きではないと思う。

出番少ないけど、黒木華と高良健吾は強烈。今回1番楽しみにしていたのは黒木華だったんだけど、素敵過ぎて、登場の際はつい前のめりに。

芦田愛菜ちゃんは、どうだったんだろう。特別感動的ではなかったんだけど、原作ではそこまで理解できなかった、ちひろという少女の内面がより理解できた気がしたので、愛菜ちゃんのおかげかもしれない。
劇中愛菜ちゃんがただ歩くシーンがあって、ちひろだ、ちひろはきっとこんな風に歩くだろうな、って思ったんです。原作にも、脚本にも書かれていないキャラクターの背景や、人柄、癖、そういうことを、16歳でもう大切にしてる役者さんなんだなと思いました。