ホンのシネマ

ジョゼと虎と魚たちのホンのシネマのネタバレレビュー・内容・結末

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

原作も実写版の映画も昔観たことがある状態で、アニメ化すると聞いて「だ、大丈夫?!」と思ってしまったのは私だけではないはず。
確かまずは実写版の映画を観て、ジョゼ役の「池脇千鶴の演技がすごい!」と、「妻夫木(いや、恒夫を演じただけなんですが)ホンマ最悪やな」という印象が強くて、こんな可愛らしいイラストでも大丈夫?! と思ってしまったわけなのです。

結論から言います。
全くの別物です。

実写版が苦手だった方は安心して観てください。
実写版が大好きな方は、「別物」だと思って観てください。


私はどちらかと言うと前者だったので、今回のこの作品、めちゃくちゃよかったです!
プレスにも書いてあったのですが、監督が「原作は昭和版、実写版は平成版、今回のアニメ作品は令和の今の若者に合うような作品にしたかった」ということだったそうなのですが、まさに今風な気がします。

あんなにクズだった恒夫がキラキラしています。
夢を持つことと諦めないこと。
ジョゼが車椅子で夢を諦めそうになった時に、「諦めるな」と言っていた恒夫。
でも、自分が事故にあって車椅子になったときに、いかに自分がジョゼの気持ちをわかっていなかったかを実感する……。
こんなの出来過ぎだって言われるかもしれませんが、こういうことに気づかせるストーリーにすることで、観ている人達にも「気づき」を与えることができるのが、こういったエンタメの素晴らしさだと思います。

少なくとも40半ばの私でも、恒夫が事故にあって夢を諦めないといけないかも父絶望していた時に、励ますためにジョゼが絵本を作って読み聞かせをするシーンでは、涙が出てしまいました。

アニメーションならではの演出で、ジョゼが空を海の中のように泳ぐシーンや、雪の中のシーン(関西人からすると、こんなに雪が積もるなんて数年に一度の珍事やでと思ってしまいましたが)などなど、美しく、音楽も素晴らしく、素敵な作品でした。

関西人なので、見覚えのある風景が出てくるのも楽しい。

おばあちゃんがなくなって、だんだんジョゼが自立していく姿が見られますが、近所のおばちゃんのように見守ってしまいました。
ああ、頑張って欲しい。

もちろんファンタジーだと思っていますが、みんな優しくて、素敵な世界は、観ていて心が温かくなりました。
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