磯野マグロ

ワールドエンドの磯野マグロのレビュー・感想・評価

ワールドエンド(2019年製作の映画)
3.8
【モスクワ以外全部沈没】87

いやはや、でっかい話。ハリウッド級というか、大きなカブ級(あのトルストイじゃないトルストイ)のロシア民話ふうホラ話を150分かけてやりきったんだから、まずはロシア映画界の底力を認めたい。さすが超大国。だてに月に行ってないよね(行ってない)。
話は半世紀くらい前のSFって感じ。古いっていうよりいい時代の話だなーって思わせる鷹揚なところがある。一方、長く、重苦しく、救いのない、ロシア文学を思わせる部分も。いずれにしても21世紀的なせせこましさがない。モスクワ周辺以外の都市が全て壊滅した世界の、宇宙人による地球侵略ものなんだけど、時間スケールが宇宙的なわりにやることは穴だらけで、ほんとは「ワールズエンド」なんじゃないの?そのうちサイモン・ペッグ出てくるだろ?と思いながら見てた。ほんとにこの宇宙人、頭いいんだか悪いんだかわかんない。
対峙するロシア軍の方も、国民の多くがあっという間に倒れた理由を調査しにいくのに放射能は多少気にしても生物・化学兵器の存在をまったく気にしてない。おおらかすぎる。
でもそこはさすがロシアの馬鹿力、かっこいい装甲車とか、かっこいいヘリとか、「かっこいい兵器大集合」で押し切る。T-34同様、兵器がたくさん出てくる無骨な映画を作らせるとうまいんだよね。いいガジェットもあった。あの壁に貼り付けると発光する餅みたいなやつ欲しい。
やがて押し切りはエスカレート。自国民をどんどん殺す。宇宙人に操られちゃってるだけなのに、コントロールを解こう!なんて話はまったくせず、とにかく殺しまくる。見ててちょっとびっくりするよ。軍が一般市民をこんなに殺す映画見たことない。
そして謎の性暴力。いわゆる「キケマラ」ってやつで、最後の展開のためなんだろうけど、唐突。いらないし、いただけないし、マチズモ全開で胸糞悪い。最後に報いを受けたのはまだしもマシだが、こんな話にするなよな。