てっぺい

名探偵コナン 緋色の弾丸のてっぺいのレビュー・感想・評価

名探偵コナン 緋色の弾丸(2021年製作の映画)
4.0
【逆転の発想映画】
オリンピックと新技術という今の日本ならではの要素を組み合わせた、自由でワクワクな脚本。こと前に進む発想しかないリニアと銃弾が、逆転の発想で繋がる描写は鳥肌モノ。個々のキャラがコナンと協業して起こすミラクルの連続も見もの。
◆概要
劇場版「名探偵コナン」シリーズ24作目。
原作:青山剛昌
◆ストーリー
4年に一度開かれる「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」の開会式にあわせ、最高時速1000キロを誇る「真空超電導リニア」が発表された。しかし、パーティ会場で企業のトップが次々と拉致される事件が発生。その裏には事件を監視する赤井秀一と、彼の指令を待つFBIの姿があった。江戸川コナンは、15年前にアメリカのボストンで起きた「WSG連続拉致事件」との関連性を疑うが……。
◆トリビア
○ FBI捜査官・赤井秀一が、シリーズ20作目「純黒の悪夢(ナイトメア)」以来に劇場版に登場。さらに、赤井の弟でプロ棋士の羽田秀吉、女子高生探偵の妹・世良真純、3人の母親で“領域外の妹”と名乗る謎の女性メアリーも登場し、“赤井ファミリー”が集結する。(https://eiga.com/movie/92267/)
○ 脚本を担当した櫻井武晴は当初、秀一をメインに据えて脚本を書いていたが、原作の青山剛昌が秀吉と真純の出番を増やしたため、櫻井から「赤井秀一ではなく、赤井一家の話」だと指摘され、赤井一家が全員メインとなる作品になった。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/名探偵コナン_緋色の弾丸)
○ 当初2020年4月17日公開の予定が、新型コロナの影響で約一年後の2021年4月16日になった。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/名探偵コナン_緋色の弾丸)

◆以下ネタバレレビュー

◆リニアモーターカー
なぜ1000キロの速度を誇るリニアを題材に持ってきたのか。やりたかったのは、リニアを急速停止させる事で弾丸を命中させる、秀一とコナンの協業による狙撃、これに間違いない。前に進む発想しかないリニアと銃弾。この逆転の発想で、犯人の背後からの狙撃に繋げてしまう脚本が素晴らしい。説明シーンがだいぶワクワクものだったし、リニアが脱線しWSG会場に突っ込む描写はど迫力の鳥肌ものだった。ただ、そのリニア(日本が世界に誇る技術)とオリンピック(本作ではWSG)会場という、今の日本の象徴でもある二つが最終的に粉々に粉砕される描写は、ある意味今年のオリンピックが中止になる事を暗示しているような、破滅的なメッセージにも感じられたのは誇大解釈か。
◆将棋
もう一つのワクワクが、秀吉による詰め将棋での犯人確保。将棋に例えて5手で犯人を確保してしまう、まるで三国志の孔明の采配を見るような、鮮やかすぎる王手には震えた。これもまたアニメでしか表現できないドラマチックな脚本。んなわけあるかいと心の中では思いつつ、どうしようもなくワクワクする本作のポイントとなるシーンだったと思う。

アニメとは言え、高速道路をスケボーで滑走してしまうコナン笑。自転車で高速に入ってしまった某配達業者の姿となんとなくかぶった。ただ毎度このシリーズには、そんな非現実的すぎるけどワクワクしてしまう描写がふんだん。実写ではなくアニメだからこそ表現できるそのギリギリがぎっしり盛り込まれてる。アニメ映画の魅力を一つ再確認した気分でした。
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