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さよならテレビのRAYのレビュー・感想・評価

さよならテレビ(2019年製作の映画)
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“真実”


必ず観たいと思っていたこの作品、上映最終日になんとか滑り込むことが出来ました。

そして、はじめてのことをこの作品のレビューに対してもしなければいけないと思いました。
それは、スコアを付けないと言うことです。


「テレビの今」
それがこのドキュメンタリーを撮り始めた動機だと、冒頭で示される企画書により知る事が出来ます。
僕はとてもぼんやりした動機だなと思いました。
そのことで、僕がこのドキュメンタリーに期待した何かからは程遠いものが描かれるのではないかと不安さえ覚えました。
そのあとは、不思議なことにどんどんどんどんと映像を食い入る様にして観てしまったのですが、それでもその不安はしばらく除かれませんでした。
それでも、ある“真実”が語られた時、今度は様々な感情が押し寄せてきて、それは涙になりました。

その真実とは何か。
それは、言葉でした。

これは映像作品ですから、スクリーンに映るその人が本当に社員なのか、なんだったら、本当にドキュメンタリーなのか確認することは出来ません。
ですが、僕はインタビューの中で語られた幾つかの言葉はすべて真実だと疑いませんでした。
彼の語る言葉と思いは本心であると心からそう思いました。


僕が良かったなと思ったのは、そんな人もいると言うことが分かったことです。
メディアと言う集合体の中で、真実に向き合おうとする人もいること。
そして、このドキュメンタリーが作られたことによって、テレビの在り方が問われている事実を自ら発信したことで、彼らの“今後”が問われる訳だから。
自らの影響の大きさをあらためて自覚し、本当の役割を全うして欲しいと願います。
これらが分かった時、僕は何故か泣いていて、正直、ここに書いた理由以外の何かがあったのかもしれないと思っているのですが、説明出来ません。


もう一つだけ確信したのは、僕等自身も知ろうとしなければらないと言うことです。
正しいや間違ってるを見分けることはとてつもなく難しいことだろうけど、知ろうとしなければ何も進まないだろうから。


スコアを付けなかったのは、少なからず彼等の決意をこの作品から感じたからです。


観て良かった。
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