けんたろう

鹿の王 ユナと約束の旅のけんたろうのレビュー・感想・評価

鹿の王 ユナと約束の旅(2020年製作の映画)
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肩幅が異常すぎて、生きる生きないどころではないおはなし。


ものゝけ姫は神話に成った。
本作が二番煎じなわけではない。寧ろ(何んだかをかしな表現に成ってしまふが)『もののけ姫』が一番煎じに成ってしまったのだ。『もののけ姫』はもう、常人が到達できぬ域へと到達してしまった。後世へ語り継がれゆく物語へと祭り上げられてしまった。

然うして哀れにも、『もののけ姫』を神話せしめた本作は、其の域に丸で入られてゐない。詰まるところ表現力に欠ける。台詞が悉くダサい。偶に作画が不自然な様相を呈す。伝へたいこと詰まり大事な言葉を台詞にしてしまったら、折角の映像表現が台無しにならうにも拘はらず、終ぞ其れを厭はない。故に壮大であったはずの物語がひどくちゃっちく感ぜらる。
作中美しかったのは、エンディングだけである。本編が前日譚、エンディングが本編であったらどれだけ好かったかも分からない。『もののけ姫』の祭祀者として、もすこし好くは成らなかったのかしらと、失礼ながらも思ふ次第である。