ミシンそば

ブレスレスのミシンそばのレビュー・感想・評価

ブレスレス(2019年製作の映画)
2.9
いや、これはキッツかった。
妻を亡くしたその日に心が死んで肉体が生きてるだけの男ユハと、「普通は嫌」と言いつつ感性はどこまでも普通なSM嬢モナの歪な純愛……純愛?

序盤こそタルコフスキー(映画における静謐表現の極致にあると思っている)を思わせる背の高い草生い茂る水辺の描写と悲劇、そして“解”を得るまでの空虚さを戴く日々(まさしく、心が死んでいる)の演出が非常にいい。
最初はプレイによる低酸素状態によって見える妻の幻覚を生きる頼りにしていたユハだが、次第に「目的が手段となった」のが如実に分かる滑稽な演出は、クラブに通う前から若干見えてたユハのマゾヒスト(これは苦痛を快楽とする嗜好、という意味だけでは使っていない)気質がはっきりと見えて気色悪い。
SM嬢が無条件でサディストだと思い込んでいるところなんかも、特にね。

プレイに関してはキツいし、理解に苦しむ部分が多々あるが、まあ敢えて否定はしないよ。
一番「痛ぇ」と思ったのはプレイとは関係ないところだけど(まあ、最後の奴は別だが)。

ラストに関しては最悪。どうか静かに終わってほしかった。