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Eden(原題)のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

Eden(原題)(2002年製作の映画)
3.6
ポーランドのシュールでサイケなアニメーション。ほっこりショートムービーのつもりで観始めたのに、85分のエログロナンセンスだった。途中で離脱しようかと思ったが、地獄篇を過ぎたらグロは減り(エロは継続)、ブラックで壮大なイマジネーションから目が離せなくなった。「創世記」がテーマと思われる。エデンの園から始まった人類の歴史をジャズの音楽に乗せて、天地創造~バベルの塔まで。おそらくポーランドのユダヤ人迫害の歴史と移民も絡めている。

お気に入りのシーンは時々雲に乗って現れる光輪つけた聖人達カルテットのセッション。力の抜け加減が好き。

ノアの方舟の運搬係は鯨なので「モビーディック」として射られたり、イエローサブマリンが現れたり、発想が自由で楽しく飽きない。

ノアの方舟がはまってしまったバーミューダ・トライアングルから出てくるシーンが好き。

最初の地獄篇がかなり長く、それを超えたら好き放題にできる天国篇は本当に天国で、聖人達も飲み放題。エデンの園ツアー客も欲望のままに遊んでいく。

人類の起源はイブの欲望から始まり、女性は常に男性を誘惑し襲いたがるのでエロは消えないと描かれている。

というわけわからないストーリーの主役は笛吹き少年。少年が笛を吹くと地獄の悪魔は戦意喪失。音楽に魔力を与えている。モーツァルトの「魔笛」も重ねているみたい。となると少年はパパゲーノかな。巨大な鳥の怪物に追いかけられていた。でもハーメルンの笛吹きにもみえた。女たちに追いかけ回される男たちの先頭に立ち笛吹き逃げる。

聖人達のラインダンス、フレンチカンカンが楽しかった。

なんだかんだとたどり着いたところはそこだった。なんとなく予想できたバベルの塔。続編があれば観たい。上陸したこの先が気になる。

音楽に合わせてのエログロナンセンスだし絵柄もサイケだから、好みは分かれると思う。私は加速度ついてきて楽しみました。
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