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ハニーランド 永遠の谷のmakoのレビュー・感想・評価

ハニーランド 永遠の谷(2019年製作の映画)
4.5
『ロング・ウェイ・ノース』のあとに鑑賞。

「半分はわたしに、半分は蜂に」
それが持続可能な生活と自然を守るための信条。
3年の歳月と400時間以上にわたる、対象との親密な関係の中で撮影されたドキュメンタリー。
ドキュメンタリーなんだけど、ドラマティック。

主人公は、北マケドニア共和国の首都スコピエから20キロほど離れた、電気も水道もない故郷の谷で、寝たきりの盲目の老母と暮らすヨーロッパ最後の自然養蜂家の女性。
蜂から蜜を貰うが必ず半分だけ残す。蜂がケンカしないように。
「半分はわたしに、半分は蜂に」、彼女の穏やかで平和な生活。
そこにエンジン音とともに7人の子供と牛たちを引き連れてきた一家によって、穏やかな生活が一変してしまう。

最初は友好的だった一家。
蜂蜜の取り方を教えてもらい、彼女の言うとおりに蜜を半分残していたのに、蜂蜜がお金になると知り、段々と教えを守らなくなっていく。
彼女の蜂は一家の蜂に殺されてしまい、蜜が取れなくなったため、主(あるじ)に抗議をするがうちのせいじゃないと言い出す。

一家の父親がダメな奴で観ていて腹が立つ。息子が蜜の半分を残すように父親に言うが取り合わない。
息子もそんな父親に嫌気がさすが家族なのでどうにもできない。

観ていて養蜂家の女性が可哀想になりました。一家に罰が当たればいいのにって、彼女が言うけど、私もそう思いました。

人間と自然の共存。
お金が絡むと周りのことが見えなくなる。欲望って恐ろしい。
今だけ、金だけ、自分だけ。
こんな考え方じゃ自然と共存なんてできないよ。

観ごたえがあり、スクリーンに惹き込まれました。



観客 10人くらい
字幕 林かんな
劇場鑑賞 #92
2020 #154
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