オレオレ

プロミシング・ヤング・ウーマンのオレオレのレビュー・感想・評価

4.0
バーで酔っ払ってソファで寝ている若い女性のシーンから始まる。一人で来ているのか、友達に置いて行かれたのか、周囲に知り合いがいる様子もない。やがて、「お持ち帰り」を狙った若い男が親切心を装って彼女に近づき、前後不覚の彼女を送り届けるふりをして自分のアパートに連れて行く。
もちろん事に及ぼうとする男だが、泥酔だったはずの若い女は素面で自分を見下ろし、「てめー何やってんだよ」。

面白かった!
クレジットの字幕も「スーパーヒーロー」ものっぽいやつだったし、音楽もそんな曲でスタート。彼女は酔った女性を利用する男に制裁を与えるために夜な夜な盛り場をパトロールしている裏の顔があったのだった。

まあ現実的には、男の力に女が武器なしで立ち向かえるか、という問題があるとしても、羊の顔をしながら、あわよくば・・・と思っている男に正義を下すのは爽快。人の話も聞かずに下半身にしか考えがいっていない男どもは、相手の女性の仕事も趣味も名前さえも覚えようとしない。
彼女がその手の連中に立ち向かう理由が徐々に明らかになっていくが、比例して、なんだか嫌な予感も増えていく・・・。
特に、残り1時間もあるのに、彼女の「昼間」の恋がハッピーエンドに向かいそうになった時には、ああこれは、となり、ストーリーは一気にマイナー調に。

キャシーのように身体を張って正義を下すのが正しいとは思わないが、実際問題、レイプ被害者の泣き寝入り数が多い理由に、出て行っても法の正義が下されないから、という現実があるかぎり、だったら裏の手段、ってなるのもわかる気がする。
夜遊びからはすっかり遠ざかった明るい生活をしている私だが、日がある間にしかやらないジョギングにさえ、護身術習おうか、ペパースプレイ持参しながら走ろうか、と思わされるのが現実だもんな・・・

アカデミー賞は「ノマドランド」に行ったが、私は絶対こっち「推し」。
C.マリガン、女優賞取って欲しかった、全女性を代表して!