うらぬす

プロミシング・ヤング・ウーマンのうらぬすのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

スプラッタ描写を数匙でも加えてあげれば、エキセントリックでエンタメ色の強いレイプリベンジものとしても評価されうる作品になったところを、敢えて全く入れなかったのは監督の英断だと言いたい。しかも最後は純粋な力で男性に太刀打ちできず返り討ちにされてしまうというのも、この映画は華麗な復讐劇ではないということを改めて示しているようで大変好感が持てる。真に改心した弁護士を許すくだりからも、キャシーは決して復讐に取り憑かれた狂人やまして悪魔などではなくて、愚かな男どものせいで大切な友人を喪ったひとりの女性でしかないことが伝わってくる。
とはいえスカッとするようなシーンが多々あるのは確かだし、キャリー・マリガンの新たな一面が見える抜群の演技のオンパレードは眼福で、エンタメ性が無いわけでは全く無い。「ライアン絶対これ本当はクズな気がする……頼むからクズじゃありませんように……」という祈りが通じなかったときには、マゾヒスティックな謎の爽快感もあった。