Haru

プロミシング・ヤング・ウーマンのHaruのレビュー・感想・評価

4.8
やっと見れた…!!!
でも予告で想像するような、単純にスカッとする映画ではなく、性犯罪のテーマをエンタメ的に消費することだけで終わらせない、という制作側の凄い意志を感じるラストだった。

たぶんスカッと終わるラストだったら、それこそドラマのラチェッド状態。現実じゃ考えられなさすぎで、SF作品になってしまうのだと思う。

毎晩男の家に行っては説教で終わってるのか、一体何をしているのかわからないけれど、多分人は殺してないんだろうな、と。多分その一線がこの映画では重要な線引き。その倫理観がすごく現実的で良いし、エンタメで終わらせない要素の一部だと思う。復讐も結構ギリギリのところを攻めてはいるけど、相手の意識を変えさせるのが目的であって、完全な復讐とは少しずれたところなのも、また現実的に見えてきて、さらに心にはずしっとくるものがあるんだよな…

後は女と男、という二元論で性犯罪を区切らなかったこと。ラヴァルヌも唯一の親友としてキャスティングされてるし、トランスジェンダーということを直に示すことはないけれど、映画に登場する唯一の黒人女性として描かれる。そこにも制作側の意図を感じるし、そういうことなのよ…性犯罪は完全に男が悪!!という描き方より、こういう個人個人の意識にまで浸透している社会システムが糞なんですよわかりますか?と冷静に示されれば示されるほどキツい…

でも本当にトリガーになるような、トラウマになってしまうような表現は出てこないので、比較的誰にでも見てもらえる作品だと思う。大衆向け、でも胸糞悪い、そのバランスが最高でした。ちなみに映画全体の色彩と音楽もラチェッドっぽく好みでした。
Haru

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