けんぼー

プロミシング・ヤング・ウーマンのけんぼーのレビュー・感想・評価

4.2
2021年鑑賞88本目。
全男性必見。面白いけど、それよりとにかく「すごい」映画だ。男だけでなく、全ての人へキャシーが送る「メッセージ」とは。

これはアカデミー賞脚本賞受賞するわ。納得。
凄まじいテーマ性と展開、重さとポップさ、そしてホラー、サスペンス、ラブストーリーなど様々なジャンルが入り混じるすんごい物語。

本当に表面的なストーリーとしては、酔った女性を狙って性暴力に及ぼうとしている男達に対して正義の鉄槌を下す主人公「キャシー」の物語。

この作品の凄まじいところは、男性による性的な暴力を描いていながら、男性だけでなく、大人の観客であれば誰しもが当事者になっているということをテーマとして掲げている点。

そしてその当事者の中には性暴力を受けた女性に対して「酔っている方にも落ち度があるでしょ?」「隙があるのが悪い」と考える人も含んでるんです。
実際に性暴力に及んだ男性だけでなく、周りで見ていた傍観者、見て見ぬふりをしていた人、詳しい事情も知らずに女性の方にも非があると考える人、全員「加害者」だぞ?とキャシーにグサッと突き付けられるんですよね。

僕は見ていて心底「男性」であることが恥ずかしくなりました。

テーマとしては重いのですが、それと対比するように画面内に映し出されるポップなカラーの衣装や部屋の内装。しかもそれもキャシーのバックグラウンドを示唆していたりして、細部もよく作り込まれている作品です。

また、性暴力を描いている作品なのですが、「エロ」要素がほとんどなく、キャシーの行う制裁もスマートで、変に「グロ」に振ってもないというのも素晴らしい。どうしても「エロ」「グロ」が入ってしまうとそっちに引っ張られてしまう可能性があるのですが、本作が伝えたいテーマが脇道に逸れずに伝わります。

男性は必見の間違いなく今年ベスト級の作品です。

2021/7/25鑑賞