マオ

プロミシング・ヤング・ウーマンのマオのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

すごかった。

オープニングのシーンが秀逸。

2時間の間に場面が展開がくるくる変わり、怒りや悲しみ、ときめきや喜び、正論、絶望、気持ちがぶんぶん振り回される。
自分より弱いと思えばとことんナメてくる男に心底腹がたったし、中盤、楽しそうな彼女の姿にうれしくて涙が出た。このまま終わればいいのにと本当に思った。そうはならなかったけど。

お父さんが実はずっと見守ってくれてたのがわかるところとても好き。
ニーナのお母さんに「忘れて」と言われてハッとした。そう、完全に忘れることは出来ないかもしれないけど、仕切り直しこれからの積み重ねで、憎しみを薄めていくのがいいのはわかっていたのに、心の中で彼女を止める言葉が出でこなかった。だからそのあとの楽しそうな展開が余計にうれしかったのになあ。

朝帰りをからかってきた男たち。睨み返すと遠くから石を投げるように負け犬の遠吠えで反撃をするようなポーズをとるだけ。

発進しない彼女の車を後ろの車が怒鳴り散らす。カメラが引くとまわりは全くクルマがいない。抜かせばいいじゃん!てか突っ伏してる彼女を心配するのでは?
で、彼女が暴力に出るとビビって逃げ帰る。
「自分より弱いもの」へのクソぶり描写がすごい。止まってた車の運転手が彼女じゃなくてガタイのいい男性だったらあんな風に怒鳴ったかな。

でも全体を通じて一方的に「男性がおかしい」ってなってないところがいい。

私も無意識に安全な所に立ちなおして何もなかったかのように傍観者になっているのでは?と考えさせられる。

湿度高めなテーマなのにポップでかわいくめちゃ面白いエンタメになっててほんとすごいと思う。
マオ

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