よしまる

プロミシング・ヤング・ウーマンのよしまるのレビュー・感想・評価

4.2
 劇場間に合わずレンタル借りられててとか色々タイミング合わない映画ってあると思うけれど、ようやく観れた♪

 切ないなぁ。

 幼い頃からの親友、ニーナの死を抱え込み、自分の人生さえも放棄して復讐に生きるキャシー。30歳でコーヒーショップの店員、母と喧嘩しながらも実家暮らし。
 こうした痛々しくも普通ならあり得ない設定がコトの深刻さを物語る。

 自警団よろしくナンパ野郎にことごとく制裁をくわえていく。なんの前情報もなく観たので、最初に男と過ごした翌朝、片手にはヒールをぶら下げ、血塗れの片手でホットドッグ🌭をかじるキャシーに、え、ホラー?ん?ケチャップ?ハンバーグじゃなくてソーセージなの、ナニ??
と、ちょっとパニック笑

 しかし。この鮮烈なタイトルバックで本作のテイストが見事に表されており、ここで好き嫌いが真っ二つに分かれるんじゃないかと思った。ちなみにボクは、朝方に街を裸足で歩くなんてトチ狂った女性は無条件に好き。

 コーヒーショップに偶然現れた同級生ライアン。後から考えると彼とキャシーが互いの素性を知らないのは不思議な感じがするのだけれど、まあそれはさておき、ふたりが恋を温めていく様子はとても楽しい。

 当たり前のようにふと恋に落ちるふたり。サラッと流しても物語は成り立つけれど、この恋の始まりをクソ丁寧に描いているからこそ、その後のもろもろが切なくて泣ける。ジェンダーでとやかく言うのはナンセンスだろうと、ボクは女性監督ならではの描写だなと感心してしまう。

 ひとりひとり、情報を手繰り寄せては復讐を遂げていくキャシー。ただ傷つける、殺す、ではなく、ニーナの味わった屈辱や恐怖を同じように味合わせることが復讐の成就となる。

 そんなことしてどうなるの?

 誰に言われなくとも、おそらくキャシーが一番わかっている。だから誰にも止められないし、例えバッドエンドに至るとしても、彼女を責める気持ちにはなれない。
 ニーナの悲劇に居合わせられなかった自分、そしてその後の自殺からも救えなかった自分。許せるはずがないのだろう。

 そんなことより他にすべきことがあるだろう、もっとほかに方法があるだろう、そんなふうに理屈で動く人生が悪いとは思わない。むしろそのほうが本人も周りも幸せに違いない。
 けれど、まっとうな道を往くことだけが人生なのかと問われたら、それもまた何が正解かはわからない。こうした映画が、観客それぞれに異なる感情をもたらし、あるいは論争や考察合戦に発展することはおそらく製作者の望むところなのだろう。
 だよね?マーゴットロビー笑

 ラストの顔文字は、海外ではヨコに使うことが多いので、してやったりのウインクに見える。日本ではタテに使うので、顔半分が隠れた涙と取ることもできる。

 監督の真意がどこにあるのかは知る由もないけれど、どちらにしても、キャシーの選ぶ道はここにしかなかった。

 それが、とても切ない。