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プリンス・イン・ヘルのBONのレビュー・感想・評価

プリンス・イン・ヘル(1993年製作の映画)
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マックス・オフュールス記念映画祭、フロム・ソドムトゥハリウッド映画祭招待作品。

地下室でのSMプレイ、ヘロインによる幻覚、ネオナチの襲撃、危険なフリーセックス。あらゆるタブーを犯すショッキングなシーンの連続がヨーロッパ中でスキャンダルを巻き起こし、ベルリンで驚異のロングランを記録した衝撃のゲイ・ムービー。

ベルリンの壁が崩壊し、政治的緊張の高まるベルリンのクロイツベルグ。ジャンキーとパンクスが吹き溜まる無法地帯の地下室で、人形遣いフィルレファンツが粉屋の青年に恋をした美しい王子のお伽噺「プリンス・イン・ヘル」を物語り展開されていくストーリー。

セックスとコカインの魅力に取り憑かれ、破滅に向かって進んでいくジャンキーの貴公子達とそれを見つめる少年。人形遣いのピエロのような姿が不気味なビジュアルと愛嬌が良かった。下半身丸出しで全編モザイクで笑える。

ニュージャーマンシネマの巨匠ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー作品などで知られる異色俳優ハリー・ベアが顔を見せている。監督のミヒャエル・シュトックはファスビンダーの伝統を90年代に蘇らせる新人として注目を集め、自身も出演している。現在の私と同い年の当時26歳。ひゃー。

力なく回転する虚しく強烈なラストシーン。東西統一後のアンダーグラウンドでジメジメ・廃れた雰囲気で切れ味たっぷりな映画だった。
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