はちみつレモン

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「真夏の夜の夢」のはちみつレモンのレビュー・感想・評価

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シェイクスピアってこんな風になるのか!!と衝撃をうけた

まず舞台が素晴らしい
盛り上がる5つの舞台はとても効果的に使われていて、抽象的な空間だけど、抽象劇とはまた違ってとてもシーンの切り替えが分かりやすい。そして見ていて飽きない。
舞台上でシーンが変わっていくのとも、360度シアターでぐるぐる回っていくのとも違う。本当に空間そのものが切り替わっていくのが素敵。

さらにお客さんはその舞台の周りに立見!
夏の夜の夢は森の中でシーンが展開していく為、観客は森役にあたるらしい。
3時間立ちっぱなしは大変そうだけど
頭上で繰り広げられる妖精たちのアクト、周囲で盛り上がり展開されていくシーン。
役者も観客をすごい巻き込んでいて、本当にその世界に放り込まれた感じであっという間なんだろうなぁ…是非私も立見したい!
そしてその観客に危険がないように混ざって誘導しているスタッフは大変そうだなぁと思いを馳せた笑笑

演出も素晴らしかった!古典作品とは到底思えない。空中でのアクトや衣装、舞台装置、音楽、ライト、新しい演出ととてもモダン。キラキラした妖精たちのメイクや衣装大好き!ニコラスハイトナーすごい。
オーベロンとティターニアの役割を反対にする事で女性は男性(夫や父)のものであるという認識や異性愛が当たり前であるという、古典作品の問題(その価値観が書かれた当時は常識だからしょうがないけど、現代では問題になりうる、でも作品としてそこを崩すと成り立たなくなるのでは、みたいな葛藤)も難なくクリアしていた。
例えばディズニープリンセスのガールズエンパワーメント問題も、こういう手法でなら解決できるのかなぁと感じた。

シェイクスピア、古典って日本で言えば能や歌舞伎、落語に当たると思う。
なのにこの違いはなんだろう。
“伝統”への固執、敷居の高さに重きを置いていては廃れていくのだろうなぁと感じた。
現代に合わせた新解釈や、新しい演出に感銘を受けることで、日本の若者に興味を持ってもらえるし、世界に輸出することができるものになるかもしれない。そして、その作品を好きになってもらうことで、その本家にも興味を抱く。このままじゃ能も歌舞伎もただただ日本の若者にも、世界にも親近感のない、理解し難い物のままだなぁと感じた。

本当に素晴らしかった!!
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