まこ

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」のまこのレビュー・感想・評価

5.0
NTLを知るきっかけとなった作品なのだけど、(1917と同時?公開だったので)これ本当に面白い。再上映されるたびに行きたくなるかも。サムメンデス、こっちの分野までお得意なんてずっと知らなかった。
朗読劇かと最初は思うけど、やっぱりすこし違う?あまり自分に馴染みのなかった題材だからかな、三人称語りだからかな、感情移入とかするわけではない。でも、1秒も気を抜けないほど面白くて、体感時間は半分くらい。気付いたら言葉の洪水に、あの世界の流れに飲み込まれそうになっている感覚。1冊の本を読み終えたような充足感もあった。
150年続くリーマン一族の栄枯盛衰の物語を、ガラス張りの1つの箱の中で、たった3人で、ここまで面白いものにできる演出に恐れいる。3人の役者さんもとんでもなくて、まずあれだけ膨大な台詞を頭に詰め込めることに驚いてしまう。これを何度も、ライブで演じているのかと思うとひえーってなった。そして衣装替えや小道具がなくてもすぐに判別できるほど、老若男女それぞれの特徴を表現するのが上手すぎる。あとから調べたら70人以上の登場人物を演じていたらしく、すごすぎてこわい。舞台だから成り立つことではあるけど。さらにさらに、演技に寄り添うピアノの生演奏も洒脱で素晴らしい。4人目の語り手、とはまさに。本当に彼らに負けないくらい雄弁なの。ピアノが。
脚本、演出、音楽、舞台装置、演技のすべてが極上の作品。昨年買えなかったパンフレットも買えて嬉しい。生で観たい気持ちがどんどん膨らむけど、字幕ないと無理ですね。。いや、英語が不十分でも、空気を味わえるだけで。。
まこ

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