ノラネコの呑んで観るシネマ

るろうに剣心 最終章 The Beginningのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.8
極端に彩度の低い、ダークな色調で描かれる物語は、過去作とは別物。
剣心「おろ」とか言わないし、ユーモアの要素も全くない。
幕末を舞台に新撰組と志士たちが血で血を洗う抗争を繰り広げる世界観は、シリーズよりも「龍馬伝」の裏バージョンの趣き。
全五作の中で、もっともドラマシーンが長く、アクションは相対的に少ない。
ガトリング砲などの飛び道具も出てこないし、漫画チックな必殺技を持つ剣客もいない。
明治時代の大人剣心は既に生き方を決めている人で、狂言回しに近いキャラクターだった。
対して本作では、若き剣心が人斬りとしての人生に葛藤しまくる。
初めて本当の意味で主人公になったのだ。
だから物語の大半は、剣心と彼の罪を象徴する雪代巴との絡みで占められている。
剣心も巴もある意味仮面をかぶっている人なので、ここまで主人公の表情が変わらない映画は珍しい。
シリーズの最後としては相当に異色だが、私はこれを全体のベストと推したい。
相変わらずの回想多用は、見方によっては親切だが明らかに過剰。 
しかし最後にこれを持ってきたからこそ、生きている部分があるのも事実。
故に全作鑑賞済みが前提の作り。
そしてなんと言っても、有村架純の可憐さよ。
これだけで何度でもおかわりできるわ。
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