社会のダストダス

るろうに剣心 最終章 The Beginningの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

4.0
「The Final」も観ていないどころか、劇場版るろ剣1回も観たことないのに、これだけを観てきてしまいました。もしかして「インフィニティ・ウォー」を観ないで「エンドゲーム」を観るような暴挙なのかとも思ったが、原作は全部読んでるし、タイトルは「The Beginning」だし多分問題ないはず。

前々から周りの人たちも絶賛していた実写るろ剣。「漫画実写の最高峰」や「アクションが凄い」とか「斎藤一の牙突クソワロタwww」などなど評判だったので、そのうち観てみようと思っていたのに気が付いたら10年。
公開直後は、ド●ゴンボ●ルやデビ●マンの悪夢は忘れてないぞと、るろ剣の実写化なんて京都大火の大草原地雷になるに決まっていると思っていた。周りがどれだけ褒めていようと、Netflixでも配信されていようと、何だかんだ観なかった実写るろ剣。

でも、…有村架純が雪代巴だなんて知ったら観たくなるじゃないですか。

元の漫画でいういわゆる追憶編。これの為にOVAも作られてるくらい人気の章。キャッチコピーで「シリーズ最高傑作と」謡ってるくらいなんだから、きっと気合の入れようも凄まじいはず。冒頭の剣心が捕まっているシーンから始まる殺陣で既に感じ取れる。自分はまだ「流浪人」の佐藤健を観ていないので、このシーンの「人斬り抜刀斎」に度肝を抜かれる。

本作のもう一人の主役といえる、有村架純の顔面の吸引力よ、まるでダイソンの掃除機のごとし。顔面アップのシーンは時間が止まってると錯覚するレベル。完全に雪代巴、儚げな表情と美しい所作、安産型の後ろ姿に釘付けでした。ドラマパートは架純殿の天下だった。

漫画は読んでるとは言え、大分昔のことなので細かい原作改変等については気付かなかった部分が多そう。江口洋介の斎藤一を初めて見たけど、ちゃんと牙突の構えも牙突だった、例の笑える牙突ってのはどこで観れるんだろう。本作のメインの敵の闇乃武は原作だと割と小者っぽい奴らだった気がしたので、北村一輝演じる頭領がとても凄味が効いてるように感じた。

原作再現はもとより、時代劇としての作り込みの深さに驚いたし、シリアスな作風の中でも出てくるキャラクターやアクション演出は漫画的な外連味を損なっていないバランスが絶妙だった。。

何故にファイナルの後にビギニングの公開順になったのかと考えたが、私のように今まで観てこなかった層を次に第1作目を観るように誘い込み、無限ループに落とし込むための闇乃武の罠だったのか。どうやらその結界に嵌まりそうです。自分の中で本作が「シリーズ最高傑作」だったかどうかはその後の感想になる。