メタ壱

るろうに剣心 最終章 The Beginningのメタ壱のレビュー・感想・評価

3.9
実写版るろうに剣心シリーズ5作目にして最終作。
幕末の動乱期、維新志士の暗殺者として多くの人を殺めてきた人斬り抜刀斎こと緋村剣心の愛と苦悩を描いた作品。

名作OVAの追憶編と同じく、ほのぼのシーンや笑えるシーン、そして漫画原作ならではの漫画的表現を排除しシリアスに徹した、重く深い作品でした。

アクションシーンの迫力は健在ながらもあくまで人間ドラマに比重を置いた名作です。

『The Final』ではなくこちらを最後の作品にしたのも良かった。

幕末の人々の価値観や死生観は今の時代を生きる自分とは違うけれど、人々にとっての幸せや情はいつの時代も変わらない。

ただ時代の奔流の中でそんな幸せを護ろうと戦った人達がいて、幸せを作り出すために多くの対立と不幸が生まれた。

だけど、そんな中においてもやっぱり人は人を愛し、想い合う。

剣心と巴はそんな時代の正に象徴。

本作はフィクションだけれど、こうして戦ってきた人々の歴史の積み重ねの上に今の自分の生があるんだなと思うと100年前200年前の世界に思いを馳せずにはいられません。

動乱の中に生きその後も戦い続けた剣心にとって唯一の安らぎの時間である農村での二人の生活のシーンは、その穏やかさと優しさと美しさに涙が出ました。
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