アネモネ

17歳の瞳に映る世界のアネモネのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.2
観て良かった。
17歳という年齢は、とても不安定で色々な狭間の歳だと思います。
親には絶対言えないのも凄くわかる。
辛い目に遭った事実を無意識に封印したくなるのもわかる。
ただ、オータムには心を許せる友であり従姉妹のスカイラーがいて本当に良かったと思います。

最初は
なんでスカイラーはこんなにオータムに尽くすんだろうって思ったけど、
きっとスカイラーも孤独で心を許せるのはオータムだけだったんじゃないかな。

オータムのお父さんの典型的な人となりに、思春期じゃなくてもウンザリだし
電車で出会ったヤツも、声掛ける時に気安くタッチするあの仕草には、おばちゃん年齢の私でさえ
「はぁ?」ってなる。
あと1番キモいのはスーパーの店長な!!
地獄に堕ちろ。



田舎から大都会に来たっていう理由だけじゃなく、お金の為にしてしまう行動は
あの年代故の危うさでもあり、私にも友達と一緒に危ない事を沢山してきた経験があるから、一概に怒れないと思ってしまいました。
娘が居たら違うんだろうけど。

私にはオータムの決心と不安がよくわかって、
だからなのか
タイトルにもある、まるで学生への典型的なアンケートの4択がとても嫌だった。
だって本心はその4つでは表せないもん。
けど、そこを親のように問い詰めなかった先生をみて、
それなんだよ、本当の言葉は!と思った。


この映画は、中絶の賛否とかじゃなく
思春期の女性が意図せず辛い目に遭って起こった妊娠に、大人はどう向き合うか、どう声を聞いてあげるかが大事なんだと教えてくれています。
堕す事が悪い事、どうして妊娠「したか」
そんな定型文よりも
寄り添って声を聞いて欲しい。
だってさ、色んな事経験してないんだからわからないもん。
大人は経験談や世間の話をするけどさ、
あの2人のように
経験をもとに自分と向き合っていくのが人生でしょ?
そりゃ危ない目に遭わないようにしたあげたい気持ちはわかるけど、それは自分が危ない事も経験したからであって、経験してないことを言葉で無理矢理伝えたってわからない。
言い方伝え方も大事。
私は決して自由や中絶に賛成してるわけじゃなく、17歳だってちゃんと悩み考えその年齢なりに答えを見つけてもがいてるんだって事を言いたいのです。

自分の10代が辛かったからこそ
大人になって、改めて今
オータムやスカイラーのような若者の言葉をちゃんと聞ける人間になりたいなーって思ったりしました。

この映画は、ミソジニーと親の教材に!
アネモネ

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