えりんぎ

17歳の瞳に映る世界のえりんぎのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.0
痛いほどのリアリティ。
無駄なセリフがほとんどなく、少ないセリフと表情だけで心象表現をした主演の俳優2人と、繊細に描いてみせた監督の手腕がすごい。
オータムがカウンセラーからの質問に4択で答えるシーンは、観ているこちらも胸が詰まる思いがした。本作の原題である「Never Rarely Sometimes Always」「一度もない/めったにない/時々/いつも」の4択から答えるわけだが、この象徴的なシーンから採用した原題になぜ従わなかったのだろう。「17歳の瞳に映る世界」悪くはないが、原題のインパクトを無にしているのが残念だ。往々にして邦題にセンスない問題。どうにかならぬものか。

余談だが、スカイラーがアルバイト先のスーパーでセクハラを受けるシーンで、試写の際に私の近くに座っていた中年男性が、声を上げて笑っていてドン引きした。何が面白かったのかさっぱりわからないが、その感性が腹立たしかった。これこそが男性と女性のセクハラに対する意識の違いなのだろう。残念ながら。

おそらくあえてなのだろうが、本作で妊娠させた男性側については描かれていない。同級生の男子なのか、あるいは態度のでかい義父かもしれない、と想像した。いつでも苦しむのは女性側ばかりなのだ。
二人の少女の数日間を通じて訴えかけるものを、直視しなければいけない。日本の意識の低いおっさんどもにも観ていただくべき作品かと。
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