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17歳の瞳に映る世界のkouのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.5
10代の中絶、性暴力、少女2人だけの過酷な旅を描いた今作の持つ衝撃は書くことも辛い。とにかく痛々しく、苦しく、その運命の過酷さに絶望的な気持ちになる。今作はその現実をただただリアルに、淡々と描く。

序盤の彼女を取り巻く環境、そして妊娠の発覚。相談する相手もいなく、ところどころに見えるのは背景にいる男性のハラスメント、暴力性だ。言葉や態度で、彼女を追い詰める。

彼女の妊娠の背景は、あまり多く語られない。しかしながら終盤、原題である“Never Rarely Sometimes Always”という意味を知るのと同時に背景を察する。4択の中からしか、語れないその背景に、ただただ胸が苦しくなる。

主人公とその従妹であり親友の2人は、決して誰に頼るでもなく、怖気付くこともなく、ただひたすら自分たちのやらなくてはいけないことをやろうとする。そこには一切の救いはないのだが、それでも目を離すことはできなかった。
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