まいこ

17歳の瞳に映る世界のまいこのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.8
新鋭女性監督エリザ・ヒットマンが少女たちの勇敢な旅路を描き、第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)受賞したドラマ。

友達も少なく、目立たない17歳の高校生のオータムは、ある日妊娠していたことを知る。彼女の住むペンシルベニアでは未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている親友でもある従妹のスカイラーは、オータムの異変に気付き、金を工面して、ふたりで中絶に両親の同意が必要ないニューヨークに向かう。

セリフは最小限に、表情と余白でメッセージを訴えるタイプの作品。物語の根幹は実にシンプルで「望まれない妊娠と中絶認可施設、性的対象にされること」。誰が加害者で、何が原因で、は語られず主人公・オータムがその日を迎えるまでの情景が描かれる訳だけど、途中で出会う男性陣のふるまいがハラスメントそのもので胸糞が悪い。女性は絶対に抱かない感情や行動をこうも簡単にしてしまうのは何故でしょう(※だからと言ってフィクションに対して全男性がそうだとは思ってないし、ミサンドリーではない)。従妹とのシスターフッド関係、最高すぎる。

あと、この作品を鑑賞したにも関わらず死刑と中絶を同類に語り、本作を痛烈に批判しているレビューを書いている方がいて絶望。世の中って怖いわ。

原題の『Never Rarely Sometimes Always』が鑑賞後にこんなにも響くとは。
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