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17歳の瞳に映る世界のchaooonのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.8
望まぬ妊娠をした17歳の少女とそれを手助けする従姉妹、2人がNYで中絶を果たすまでの旅路をドキュメンタリータッチで描く物語🚌

『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが製作総指揮に名を連ねる🌙

身近にあるセンターでの検査で予期せぬ妊娠を知った17歳の高校生のオータム。
地元ペンシルベニアでは未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けれず、友達も少ない彼女は途方に暮れる。
同じバイト先で働く親友で従姉妹のスカイラーの協力の元、2人は両親の同意なく中絶が可能なNYに向かうことになるが…予想を上回る苦難に手こずることに🗽

セリフは最小限で過度な演出も音楽も少なく、静かに淡々と2人の辛い旅を描く作品。
この淡々とした光景は、彼女たちが女性として受ける不当な扱いや社会の不均衡、妊娠によって女性にのしかかる精神的・肉体的苦痛、そういったもの全てへの諦めすら感じる。

今作に登場する男性はどいつもこいつも酷い🤪
オータムを揶揄う同級生、セクハラが異常なバイト先の上司、電車内の露出狂、バスで声をかけてきた下心満載な青年ジャスパー、そしてオータムの義父すらも女性を見下したクズ…😭
世の中が全てそうとは思わないけど、少なくとも彼女たちの周囲の男性は皆彼女たちに汚れた目を向け、扱い苦しめる存在で、17歳の少女から観た世界はそんな風に見えるのかもしれないと思えた。

ティーンエイジャーの妊娠といったら、絶望感や相手の男性とのゴタゴタだったり、親にバレないように画策したり、とにかく感情爆発の大騒動になりそうなもんだけど、オータムは最初からそういった起伏もなくただ粛々と終わらせるための行動に出る。

本来妊娠には相手がついて回るはずだけど、誰の子かもどういう状況で妊娠に至ったのかも全く分からないまま、そんなことは問題でないように完全無視で映画は進行していく。
それが後半で効いて来るし、原題『NEVER RARELY SOMETIMES ALWAYS』のワードが登場するときに少女の決意の裏に潜む苦しみが同時に顕になるのが秀逸だった…。

原題は中絶の手術前に、患者がカウンセラーから質問される過去の性的経験の回答となる4択「一度もない」「滅多にない」「時々」「いつも」を示す。
この質問に答えるときのオータム役のシドニー・フラニガンの表情の変化が素晴らしく、あのシーン1つで彼女の置かれた状況の苦しみや、妊娠に至った痛ましい経緯が噴出したように感じた😢
主演のシドニーは今作が演技初挑戦にも関わらず今作でたくさんの賞を受賞しているいとうから凄い🏆✨
シンガーソングライターとしても活動する彼女は冒頭でも歌声を披露していたし多才✨

ずさんな検査の結果予想より進んでいた妊娠周期、想定以上に日数が掛かる処置や金銭面。
オータムを引っ張り支えるスカイラーとも気まずくなる瞬間がありながらも、2人の結びつきや連帯感には心が温まるし、それだけが救いのようにも感じた🥹
あの柱越しに繋いだ手のシーンが尊い…✨
望まぬ妊娠をしたオータムを助けるために、スカイラーが望まぬ異性との接触をするしかないって状況を考えると悲痛すぎるし、それしか手段を選べない彼女たちの状況がまた観てられなかったけど😭

スカイラー役のタリア・ライダーはとびきり美人だし、なんと『Matilda the Musical 』のホーテンシア役でBW出演経験やスピルバーグのリメイク版WSSにも出演してたらしい😍
ダンサーとして活動してるっていうから、この2人ならミュージカルにもできたわね、これ🥹(妄想)

撮影はアニエス・ヴァルダやヴィム・ヴェンダースで知られるエレーヌ・ルヴァール🎥
ドキュメンタリーっぽい飾らない感じの映像なのも納得。
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