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雨あがるのkuuのレビュー・感想・評価

雨あがる(1999年製作の映画)
3.8
『雨あがる』
製作年2000年。上映時間91分。

人を押しのけてまで出世することが出来ない心優しい武士と、そんな夫を理解し支える妻のハァ~心暖まる絆を描いた時代劇日本人忘れちゃイカンよ~ぅ。

監督は、98年に亡くなった黒澤明監督の助監督として活躍しって黒澤ちゃうんかぃ、本作でデビューを飾った小泉堯史。
脚本は、山本周五郎による短編を基にした『まあだだよ』の黒澤明の遺稿。撮影には『まあだだよ』の上田正治があたり、また撮影協力として『まあだだよ』の斎藤孝雄が参加している。
主演は、『まあだだよ』(書いてますがお恥ずかしながら知りませんねん)の寺尾聰と宮崎美子。
最近は見かけへんが寺尾聰は味あんなぁ宇野重吉に似て深い表情が熱いなぁ。

BSで『木曜日は特選時代劇』てのが昨夜やってたし、ポークカレーとコールスロー(竹輪入り)、茹で卵(レンチン30秒してからボイルは時短だが、先日一分以上回して卵爆弾で電子レンジの中がひどいことに🥺ビビりながらレンチンした。皆さんは真似をしないで~)、ほうれん草の御浸しを作って喰いながら鑑賞。
所々スプーンを片手にエアー殺陣にてコールスロー飛び散る。
余談ながら、三沢伊兵衛の差料(差してる刀)は長井和泉守重明からもろた無名剣やそうやけど、『鍛えは板目肌、地沸(じにえ)細かく地景が見事に入っている刃文は直刃、春風に吹かれるような爽やかさ。』だそうやけど、んん~ン、差し詰、気高き刀身はほのかな春風のような爽やかさを帯びている。
ってな感じの日本刀なんやろけど、
『備前国忠吉』、『来国光』あたりかなぁ。
しかし、作中で刀を丁寧に丁寧に描き、刀に存在感を与え命を吹き込んでるとこなんか黒澤型やなぁ。
主人公は剣の達人、達人がもつ差料となると直刃かな。
直刃(直線的な刃文を総じて直刃)は作るのが簡単そうに見えて実は一番難しい。
刃文が真っ直ぐな分誤魔化しがきかない(刃のどこかに破綻があると目立ってしまう)のが理由で贋作でも腕のある刀鍛冶やと云われるし、無名てのはもしかしたら腕のいい贋作刀かもしれない。

今作品は、山本周五郎の短編小説を原作とした、非常に静謐でありながら~の表情豊かな愛すべき時代劇映画でした。
黒澤明は、脚本を書き、製作の真っ最中だったときに亡くなられたそうやけど、遺稿の意向は正しく引き継がれてる作品やと個人的には思います。
また、黒澤明の代表的なパートナーである小泉堯史は、黒澤明が始めたものを完成させることを約束したそうで。その結果、『雨あがる』は、黒澤監督の忘れられない作品へのオマージュとして、非常にクライマックス的で、純粋に心を奪われる作品に仕上がったと云って過言じゃない。
江戸封建時代を舞台にした今作品は、旅する浪人・三沢伊兵衛(寺尾聰)の冒険を描いている。
三沢伊兵衛(寺尾聰)は、武士としての資質をすべて備えているが、何かが違う。
それは、剣を持った無名の武士たちの中で、困っている人たちを助けるために、あまりにも楽しそうな態度をとることかな。
大雨で川が氾濫したとき、人懐っこい笑顔の伊兵衛は、近くのホテルに避難していた地元の人々を招いて大宴会を開くことにした。
人懐っこい笑顔の伊兵衛は、近くの宿に避難している地元の人たちを大宴会に招待することにした。
その善行、無欲な行動、前向きな性格から、伊兵衛は宿泊客たちの人気者に。
雨が止み、ようやく歩き回れるようになった頃、伊兵衛は腕の立つ剣士たちと出会う。
命がけの戦いを止め、通りがかった役人に認められたことで、地元の大名・茂樹(三船敏郎の息子・三船史郎が派手で豪快、かつ優雅に演じている)から意外な招待を受ける。
伊兵衛は、江戸に向かう途中、多くの道場を訪れ、主人を騙して早々に降伏させ、大金を手に入れたことを明かします。
これに感激した茂樹は、彼を藩主に任命することにした。
しかし、これまで伊兵衛が揶揄してきたモノたちの反感を買い、猛烈な批判を受けることになる。。。

浪人は、伝統的な演武会に参加して、自分の地位を守ろうとする。
すべての相手を打ち負かすという究極のテストを受ける。
すべてが順調に進んだのも束の間、茂樹が伊兵衛に決闘を申し込む。
負けて侮辱された主君の怒りは筆舌に尽くしがたく、すぐに決断を変え、伊兵衛は再び職を失うことになった。
さらに、帰路についた孤独なサムライは、前述の怒りに満ちた主君たちと戦うことになり、この映画で唯一の血なまぐさいシーンやったかな。
主人公の心豊かな生活や、弱くても愛する妻(宮崎美子)との関係を興味深く描き、同時に日本の封建社会や、当時の日本を支配していた文化や習慣についても魅力的に教えてくれる作品でもあると思います。
また、オチをつけずに唐突に映画を切ることで、観客の伊兵衛の知られざる運命への好奇心と不安を煽っている。黒澤明監督が草葉の陰で、今作品を誇りに思ってると願いたい作品でした。
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