世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカの作品情報・感想・評価・動画配信 - 8ページ目

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「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」に投稿された感想・評価

Dick

Dickの感想・評価

4.3
❶相性:良好。素敵な夫婦愛。

➋エミール・クストリッツァ監督が、「世界でいちばん貧しい大統領」と呼ばれたウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカ(1935-)のことを知り、「世界でただ1人腐敗していない政治家だ」と直感、2014年から大統領任期満了(2015/2/末)までを密着取材した人物ドキュメンタリー。

➌クストリッツァとムヒカが一緒にマテ茶を飲むシーンから始まるこの映画は、1年強のリアルタイム映像の他に、当時のニュース映画、TV、新聞等のアーカイブ映像が加わり、それまでのムヒカの半生がダイジェスト風に描かれる。軍事政権時代、刑務所時代、大統領時代の関係者のインタビューもある。このマテ茶は最後にも登場する。

①ムヒカは1935年、ウルグアイの首都モンテビデオの貧しい家庭に生まれ育つ。
②20代からゲリラ活動に身を投じ、4度の投獄を経験。1972年に逮捕された際には、軍事政権が終わるまで13年近く収監された。
③1994年に下院議員に当選し、その後、上院議員や閣僚を経て2010年に大統領に就任し5年間務めた。 
④2012年にリオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議」で消費至上主義が環境破壊をもたらしたとしたスピーチは世界的な注目を注目を集め、ノーベル平和賞に2回ノミネートされる。
⑤2015年の任期満了により大統領を辞任以後も、その清貧ぶりで国民に愛される存在となった。
⑥在任中は、教育や治安の改善に取り組み、同性結婚や大麻、妊娠初期の妊娠中絶を合法化した。
★マリファナ合法化をコミカルに描いたウルグアイ映画 『ハッパGoGo 大統領極秘指令(2019)』では、ムヒカ本人がゲスト出演してサービス精神を発揮している。
⑦収入の大半を貧しい人々のために寄付し、職務の合間にはトラクターに乗って農業に勤しむ。質素な家に住み、自らVWの中古車を運転する。こんな大統領は世界中でムヒカただ一人。
⑧大統領や国会議員としての報酬や寄付をもとに農業学校を設立し、子どもたちに農業を教える取り組みをしている。
⑨最愛のパートナー、ルシア・トポランスキー(1944年生れ)とは、ゲリラ活動中に知り合うが、1972年に夫々別に逮捕、合計で13年に及ぶ投獄生活を送る。
⑩1985年に解放され、ムヒカと再会出来たルシアは、2005年から上院議員を、2017年から副大統領を、2020年から再び上院議員を努めている。

❹「一国のリーダーたる者はどうあるべきか」の生きた雛形を示してくれる。
①ムヒカのような素晴らしい人が、実際にいる事実に感動する。
②それに比べ、我が日本の総理大臣のお粗末ぶりは嘆いても嘆き足りない。出来ることならムヒカの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいと思う。

❺ムヒカとルシアの老夫婦の仲睦まじい様子が微笑ましい。
アーカイブ映像で2人の若き姿が挿入される。そのスマートな美男美女ぶりに驚く。長年に及ぶ過酷な獄中生活が容姿を変えてしまったのだろう。でも、穏やかな表情の内側に秘められた闘志は今も変わらぬと読み取れた。

❻2人が、インタビューで「人生で後悔していることはあるか?」と別々に聞かれて、夫々が答えている。
2人の答えは同じだった。
「ある。子供を持てなかったことです。」
この言葉に、胸を打たれた。どっと涙が溢れた。
人生の大事な時期に、長期間投獄され自由を奪われた2人。その後も自分たちより、国民の幸福の為に全力投球
して、子供を持つことが出来なかったことが唯一の後悔だったのだ。
そういう思いが、子どもたちの為の学校設立に私財を投じたのだと思われる。
2人の意思は引き継がれていくと信じる。

❼全編に流れる、タンゴやサンバ等の音楽にも酔わされる。

❽賞:
①第75回ヴェネツィア国際映画祭2018:受賞:CICT-UNESCO Enrico Fulchignoni Award:Emir Kusturica

❾外部評価:
①Rotten Tomatoes:5件のレビューで、批評家支持率は100%、加重平均値は8.0/10。
②IMDb:1,130件のレビューで加重平均値は7.1/10。
③KINENOTE:人69点/100点
④Filmarks:142人3.4/5.0

■原題「El Pepe, Una Vida Suprema/エルペペ、最高の人生」
英題「El Pepe: A Supreme Life/エルペペ、最高の人生」
enfant

enfantの感想・評価

3.6
歴史や風土に依って思想の広がりや可能な政策、向いている政策が異なるため、あまり情勢に明るくないウルグアイについて言及するのは難しい事とは思うが、それにしたって彼はあまりに奇特な存在だった。

社会主義の実現を掲げ、しかしただ理想を振り翳すだけでなく、資本主義の下でも国内の貧困を無くそうと私財を投じてまで行動する。
自身の生活の水準を庶民と並べる努力をし、大統領の職務の傍らに自ら街に買い物に出向き、料理や運転もこなし、花や野菜を育て売る。繰り出した先々で国民から掛けられる声には、たとえそれが非難であっても真摯に対応する。
国民の為という信念に基づき言動が一貫しているため、時に強い態度を取ることもあるが、それすら私には気高く見えた。

公の場に姿を現す度に観衆が熱狂し、任期を終えた際には涙を流す国民が続出するような国のトップが果たして他に居るだろうか。
心から国民を愛し動いた大統領だからこその結果だろう。

本作だけでは若干偏った側面しか目に出来なかったかもしれないし、無論全てを肯定出来る訳でもない。その上で幾ら考えても彼が尊敬に値する人物だという結論しか出て来ない。
文化や芸術に対する洞察も素晴らしく、そこも好きだった。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.0
エミール・クストリッツァの最新作という事で劇場公開を心待ちにしていたが叶わず、配信にて鑑賞。かのホセ・ムヒカに迫るドキュメンタリーではあるが、彼の飾らない性格そして妻との連帯感の強さ、いまだに国民から愛されているその存在感、そしてイメージとは真逆の武闘派だった若かりし頃の生きざまを学ぶことはできる。ただ一方で、現在の人となりと過去の人物形成が点で説明されるため、おそらく一番知りたい人が多いであろう「なぜ彼がその清貧さを持つに至ったか」の線がはっきりと描かれず、ムヒカの事が好きでたまらないクストリッツァお手製のファンムービーっぽいつくりだったのがちょっと残念かな。
recoba20

recoba20の感想・評価

4.7
なんとも素晴らしい大統領です

言行一致

ますます大変になるだろう貧困層からいかに脱出できるか、
食べていけるにはどうすればいいかを考え動いている


南米ということもあり、
チェが思い出された。
世界に必要なことは、命を愛する為の投資

人間は本来、社会的な動物

これらのフレーズに惹かれたなぁ


資本主義は、世の中に雇用を与える点で優れていて、貧困を無くす為に世界に浸透した。
けど、もうそろそろ貧困がこの世から無くなろうとしている現代において、みんなが気づき始めた
「資本主義って、格差は是正してくれないんだ」

ムヒカ元大統領は、もっと前からその先を見据えて社会主義を取ったわけだけど大国には勝てなかった。

でも貧困が無くなれば無くなるほど、もっと気付く人が増えてくると思う。
それがムヒカ元大統領の言ってた文化が進歩するときなんじゃないかな。

ソ連のように潰れない新しい社会主義の形が必要だし、そんな時に民を思って動いてくれるムヒカ元大統領の様な人は出てくるだろうか、、、、
atsuman

atsumanの感想・評価

3.4
彼の政治手腕はよくわかんないし、それぞれ国の事情は違うだろうけど、今の日本より貧困層に寄り添った政治はできるだろうし、支持率も高いことだろう。
しかしかわいいじいちゃんだった。比べるとクストリッツァが悪人に見える笑
璃

璃の感想・評価

4.0
「人は好事や成功よりも苦痛や逆境から多くを学ぶものだ」

この状況下にある私たちの胸に突き刺さるような言葉がたくさん登場する。法を生む最大の原動力は革命であると。私たちは現状から何を学びどう動くべきか、真剣に考えるきっかけを与えてくれる。

必要なのは「大きな心と小さな財布」というぺぺの発言から、利他主義は究極の利己主義なんだと説くジャックアタリの言葉も思い出した。

加えて、ぺぺが市民と1対1で論争をするシーンが印象的で、こんなこと日本じゃあり得ないだろうなぁと感心してしまった。
クストリッツァ監督の新作。
ペペという愛称で呼ばれている南米ウルグアイ第40代大統領ホセ・ムヒカを2014年から追ったドキュメンタリー。

クストリッツァ監督がフランス滞在時、トラクターに乗る大統領の存在を知り「世界でただ1人腐敗していない政治家だ」と直感して撮影を開始し、大統領の任期満了までをカメラに収めた。
ムヒカは、極貧家庭に育ち、左翼ゲリラとして権力と戦い、苛烈な拘留生活を経て、大統領として国民に愛されるようになった。
収入の9割を貧困層を救うために寄付し、職務の合間にはトラクターに乗って農業に勤しむ。
また、2012年のリオデジャネイロでのスピーチでは「世界で一番貧しい大統領」として全世界から注目を浴び、2013年、14年とノーベル平和賞にノミネート、日本でも多数の本が出版され2016年には初来日を果たした。

ゲリラ時代が想像できないほど、優しく穏やかな人柄ながら、その言動には、意志の強さを感じる。
副大統領でもある、ルシア・トポランスキー夫人との出会いもおもしろかった。

クストリッツァ監督らしい視点で描かれている。
AKI

AKIの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

ルシア・トポランスキーさんが非常に美しい。

ホセ・ムヒカさん、ルシア・トポランスキーさんはともに13年に及ぶ長い投獄生活を送っているが、独房で過ごした孤独な年月のおかげで今の私たちが存在するって言葉がとても印象に残った。きれいごとじゃないんだなって思った。

観光客に肩を組まれて写真撮影に応じるホセ・ムヒカさん、距離の近さに驚いた。

「携帯電話にトイレを付けてほしい」
俺も同感だ。是非是非、携帯電話にトイレを付けてほしい。

極貧層のために毎月給与の7割を寄付し、家を建て、学校を建て、花の育て方を教える。
貧困家庭で生まれ育ったホセ・ムヒカさんだからできたことだろう。
貧乏人の気持ちは貧乏人にしか分からない。俺はそう思う。

「あんたがウルグアイをダメにした」「あんたの責任だ」と詰め寄る男性に「あんたは最低だ」「クソだ」と言い放つホセ・ムヒカさんを観て、なんだか親近感が湧いた。

「政治の世界で探すべきは大きな心と小さな財布の人物です」
とても素敵な言葉だな~。

「大統領として成功した要因は、人に伝える力、分かりやすい言葉遣い、そして献身ぶりや信念に従った生き方」と語る妻のルシア・トポランスキーさん。
分かっていたとしても実現するのは非常に困難だ。
妻の言葉から夫の偉大さを思い知る。

とても素敵な夫婦の物語だった。
ウルグアイの元大統領であるホセ・ムヒカ(愛称ぺぺ)のドキュメンタリーをあのクストリッツァが撮ったとあらば、配信開始日に観るしかない。
鋭い眼光と髭面で葉巻をふかすクストリッツァの生物のオスとしての強さはあいかわらず。
ムヒカは好々爺然とした笑顔を浮かべ、まん丸い体でよちよち歩いていて、第一印象は「やだ、かわいい〜」と思ったが、ゲリラ活動により全身に残る無数の銃創や、銀行襲撃、長期の刑務所生活など波乱万丈な人生を歩んでいたことを知り、その事実に圧倒された。
私財のほとんどを寄付するその清貧生活ぶりは、まさに有言実行であり説得力がすごい。
二人三脚で多くの労苦を乗り越えてきたであろう夫人との仲睦まじさもいい。
本当にもう、あえて言わないけど、どこかの国の首相と比べてとかわざわざ言いたくないけれど、なんかもう…ねえ…。