なおこ

生きちゃったのなおこのレビュー・感想・評価

生きちゃった(2020年製作の映画)
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やっぱり太賀の演技、引き込まれる。
他の演者さんも負けず劣らずだった。

ずっと扇風機の風が部屋を不穏に揺らしてたところが印象に残ってる。
独特なカメラワークにあっさり淡々とした場面転換。石井裕也監督の作品を他に知らないので、彼の作品はこんな感じなのかなと思いながら鑑賞した。

「救われたかったんじゃない、愛されたかっただけ」
子育てに家事。それを手伝ってくれてたとしてもそこに愛がなかったら、それはやっぱり悲しいだろうな。「花束みたいな恋をした」のことを思い出した。お金がないと、仕事がきついと、ぜったい人間関係に支障をきたす。余裕がなくなると、人は変わる。

二人目の男の人も「幼いなぁ」と感じたけど、子どもの前では明るくいい父親になろうとしてるのが伝わってきて、頑張れと応援したくなる。でもまた大島優子、同じことになりそうだな…とも思ってた矢先の事件で、観ていて精神的にぐったりした。

「本当のことはいつも声にできなかった」
それって、どうしたらいいんだろう。
勇気の問題なのか。でも勇気ってなんなんだ。そんなもの無い気がする。苦しいし怖いけど、心は一旦脇に置いて体をうわっと動かす他ないように思う。勇ましい気持ちが整うのを待ってたら、後悔の多い人生になってしまう。
でも、言えないんだよね。それもわかる。
だから、口で言えないのなら、手紙で伝えるのがいいと思う。英語でも良かったと思う。

そう、なんでだろ。言いたいことって、日本語じゃなかったら意外とすんなり言えたりするんだよね。ずっと思ってたことがあらわされてて、同じ人いるんだと嬉しかった。
なおこ

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