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ロミオとジュリエットのmiiのレビュー・感想・評価

ロミオとジュリエット(2019年製作の映画)
4.8
英国ロイヤルバレエ団による
室内の劇場ではなく 場面毎に変わる屋外劇場で
オーケストラとバレエで魅せるロミオとジュリエット。

台詞は一切ありませんが
踊りの抑揚と ダンサーの細やかな表情で
すんなりストーリーは入ってきます。
バレエに抵抗ある方でも 親しみのある「ロミオとジュリエット」で きっと楽しめるはず。
わたしは続けて2回観てしまったほど素晴らしかった。

両家の長が登場の際は 荘厳たる曲調
街の広場での群衆の場面では 楽しげな曲調
主役の2人の場面では 優雅で流れるような楽曲。
その音楽の調べで ストーリーが奏でられていく。

バルコニーの2人の踊りは ことさらに美しく うっとりとしてしまいます。
物陰に隠れて彼女を待つ 喜びを隠せない表情
嬉しくてたまらない ロミオのダイナミックな踊り。
触れるまでの心の高揚
触れ合えた2人の愛しさを奏でるようなたおやかな動き。

ジュリエットのしなだれる身体で 死んでしまったかのような表現をしたり
キャピュレット家のとモンタギュー家のソードファイティングは 華麗にダイナミックに
ダンサーでありながらも 俳優さながらの演技をも魅せてくれます。

監督のお話によると 自然までも味方につけたよう。
バルコニーでのそよ風であったり
ティボルトの死に嘆く場面では 激しい雨が降ったり。
劇場内では足す事のできない演出です。

この劇場も中世の趣きがあって 雰囲気がぴったり。
手前でメインで踊る裏の方で 人影がライトアップされている踊りの演出は幻想的だった。
衣装もクラシカルで素敵なの。

ジュリエット役フランチェスカ・ヘイワードは キャッツの白猫でもあった方。
可憐さと軽やかな踊りが ジュリエットにぴったり。
ロミオ役ウィリアム・ブレイスウェルはあどけなさが残るような少年のよう。
対照的に ティボルト役マシュー・ボールはちょっと影のある雰囲気で
ダンサーさん達を追いたくなるくらい とても魅力がありました。

ただ
いい場面で レースのカーテンや鉄格子が邪魔だなと思った事と
悲しい結末で ずど〜んと気持ちが打ちひしがれているのに
エンドロールのあの軽快な曲だけは納得できないわ。
mii

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