東京キネマ

海辺の家の東京キネマのレビュー・感想・評価

海辺の家(2001年製作の映画)
4.2
ロバート・B・パーカーの『初秋』のコンセプトって映画で使えるよなあ、とずうっと思っていたのだが、やっぱりあった。それも、親父と子供の関係に終わることなく、家族全体の絆になっているところがいい。

前半はそれなりには面白いんだが、あまりにアメリカ的な予定調和で(というよりも、アメリカ映画でよくあるプロットの積み重ね)、なんだかなあ、普通なんだよなあこういう展開、と思っていたが、中盤になり、製作者の意図が本物だと解るに連れ、どんどんのめり込んでしまった。

主人公は25歳で結婚、29歳で男の子が生まれ、35歳で離婚し、そして42歳でガンで死ぬ。人間の一生なんて中々一本の映画でコンパクトにまとめるなんてことは出来ないもんだが、この映画ではアメリカ映画のパターンに則っているせいもあって、いい感じで主人公の歴史を追体験できる。

出て来る人達の殆どは色んなことに躓き、過ちも侵しているのだが、みんな懐が深い。だからお互いの罪を許す度量を持っているので共生できるのだ。このみんなが色んなものを背負って生きている感じ、それでもまじめにみんなで協力しながらトラブルに対処する姿がとても愛おしい。浮気するシーンなんて、思わず笑ってしまうと同時に涙が出てきてしまった。本当に人間てなんと滑稽で悲しい生き物なんだろうか。

エンディングは、随分当たり前の話でまとめているなあ、なんて思う人も居るだろうが、私はこの製作者の意図に賛同する。この時代にこういう映画を作る難しさ。それに人との関係が希薄になっている今の時代だからこそ、こういう括り方が必要だったのだろうと思う。