のほほんさん

わがままなヴァカンスののほほんさんのレビュー・感想・評価

わがままなヴァカンス(2019年製作の映画)
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16歳の女の子が、ひと夏のヴァカンスで体験した少し背伸びした体験。
元々なら友達と年相応の青春となりそうなところ、パメラ・アンダーソン(例えが古いけど、そっくり)みたいな従姉妹、ソフィアの登場で大人の世界を少し覗くことに。

この大人の世界というのがまたクセもの。
金持ちが財力を誇示する自家用船に若い子を連れ込む、金持ってるヤツしかできない下衆な世界でもある。
そこの主はとりあえず若い子の身体を楽しむだけ楽しんだら盗みの疑いをかけて追い出すというクズでもある。


大人なのはそのクズの友人という立ち位置ながら実質こき使われているブノワ・マジメル。主がソフィアとしけこんでる時も淡々としている。若い子達の乱入に気を悪くしている使用人には、客に対して失礼な態度を取るなと叱る。
主人公がソフィアの影響を受けて化粧したりドレスを着たりと、大人の世界に入れるんじゃないかと思い始めた時に、君は子供だと言ってピシャリと釘を刺す。


ソフィアの男を利用していても誰かに捕らわれる訳ではない世渡りは自由に見える。
男からすれば、あけすけに言えばヤリたくなるビッチで、しばらくしてどっか行って欲しい存在だったりする。
しかし主人公は、一緒の時間を過ごす内にソフィアが1人で孤独と彼女にしかわからない辛さを抱えている事を知っている。

昨年観た「ビッチ・ホリデイ」を少し思い出したりした。金(時に権力)を持っていきがってる男とそれに群がる女。一見羨ましい派手な生活に見えてなんと表面的で空虚なことか。
主人公には大人の世界から、それを教えてくれる大人がいて、そして浮かれた彼女の根っこになってくれる親友がいて。幸せな子である。

あと、下衆であっても悪い世界の人たちでなくて良かったね。
シャネルのバッグがひと夏の思い出とか言えなくなる事態になってた可能性もあるし。


それにしても船の主とブノワ・マジメルの関係性は否が応でも「太陽がいっぱい」を思い起こさせるもので(衣装もそんな感じ)、きっと主はそのうち殺されるんだろうなあと思いました(笑)


関係ないが、クルーズして出会ったイタリアの金持ち女性が「真夜中のパリでヒャッハー!」の方で、年齢を重ねた美しさが素敵な方なのでソフィアとの対比が残酷なのだが、調べたらなんでも公妃の称号という凄いものをお持ちの方でした