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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のnatalieのレビュー・感想・評価

4.0
討論の内容に時折ついていけなくなるものの、貴重な映像。全共闘時代の熱情がたしかにすごく伝わってくる。暴力と同時に言葉が力を持っていた時代。

三島由紀夫のカリスマ性を今回の映画で初めて知った。学生を本気で説得しようとする三島、三島を揶揄するようで先生と思わず敬称をつけてしまう学生、対話に開けている関係性が面白い。今の大学の講義のような雰囲気も残すところがあって、案外今の日本学生と変わらない部分もあると気づくと、社会が連続して繋がっているとも思わされる。

何を「天皇」と定義するか。三島が生き抜いた時代は、国家と個人が運命共同体であって、その感覚はどうも私には分からないのだけど、なんとなく想像はできる。

言葉として認識し、継続させ、システムが構築されてこそ社会が変わっていくのだという見方と、
時間という概念を超えて事物が存在することの意義?が議論されていたのかと思うけど、わかりきってない。

あいまいで猥褻な日本国家は共通の敵で、その社会を危惧し変えようとする根本は右派も左派も同じ。主体をもった他者と対峙しようとしている姿勢がこの対話そのものにもあらわれているのかな。でも本来他者は本来どうにでも変形しうるオブジェともいっていて、卑猥な日本国家というものに繋がるのだと思うのだけど、わからん。

要約ノート書いてくれてるサイトあったから、読むとよいかも。書き起こした内容がほしい。


あと、元全共闘の登場人物たちが「敗北」したことについて問われると、一様に、そうとは思わないと答える。社会全体の動きとはまた別のところで、青春時代を学生運動にかけた彼らの個別の人生もまた興味深い。

あと、芥さん、いい味だしてる。
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