レオピン

祟り蛇ナークのレオピンのレビュー・感想・評価

祟り蛇ナーク(2019年製作の映画)
3.4
iPad 12.9インチの使い方<実践編>

僧院を舞台としたコメディというと、お寺にヤクザが逃げ込む韓国映画『達磨よ、遊ぼう!』('01)なんかを思い出す。

会社をクビになった青年と腐れ縁のオネエ三人組が長距離バスで出くわすところから始まる。
当たり前のようにオネエを出してくるところがさすがタイ。残念なことに一番いい顔していた一人(ジャケット左上)はバスの運転手に悪霊が憑りついたせいで死んでしまった。

冒頭の首なし行列のCGとかすごくよかったが、その後はあまり映像的な興奮はなく、なんだか日テレ土曜9時のドラマのように遊んだ編集と軽いミステリータッチ。でも夜の湿った空気や、美しい森の中に鎮座する仏像の姿はそのままでも十分怖かった。

オネエの二人、バルーンとファースト以外はみんな名前がノーンとかノンとかノートとか、混乱することはなはだしい。少年僧のノートは顔立ちが美しくてちょっと揺らいだわ。

【大蛇ナークの伝説】
昔、大蛇の化身の若き僧がいた。誰よりも修行に打ち込んだが出家することまでは許されなかった、人間でないから。
だがナークは修行僧を見守る存在になることで伝説に。以来出家を目指す僧のことをナークと呼んだ。

タイの仏教社会では出家僧というのがステータスなんか。ヤクザも不良もみんな出家すれば帳消しになる。得度をしてくれたあの島木譲二に似た僧侶も腕にがっつり刺青が入っていた。オネエが出家するのも異例だがまして死者まで許されるとは。なんと寛容な国か。

ラスト、念願かなって母の膝で赤子のように眠る悪霊ノンの姿は禍々しくも哀れでした。

エンディングは、出家できない伝説に更に還俗できない伝説が加わってどうやら続編を匂わしつつ、ジャッキー映画のような楽しいNG集で劇終。
タイ行きてー
レオピン

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