すずき

G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズのすずきのレビュー・感想・評価

3.1
幼い頃に父親が殺され、以降復讐のために犯人を探している男、スネークアイズ。
ある日、彼は組織の力で犯人を探し出せる、と言うヤクザのボス、ケンタの配下となる。
だが、ケンタの命に背き、彼の敵であるトミーを殺さず助けてしまう。
トミーに気に入られたスネークアイズは、彼の家に招待される。
そこは代々、影から平和を守るニンジャの嵐影一族。
スネークアイズもニンジャへと迎え入れられ、修行をこなしていく。
だが、実は彼はケンタと袂を分かったのは演技で、ケンタの命で嵐影一族の秘宝を盗み出すのが真の目的だった…

「G.I.ジョー」シリーズ第三弾。それともスピンオフ?
今回はシリーズ人気キャラ、ニンジャのスネークアイズのオリジンを語る内容だけど、前作からストーリー設定は引き継いでいないので、つまりはリブートだ。
前作は寡黙な忍者キャラだったスネークアイズだけど、今作ではおしゃべり。
イ・ビョンホンがカッコよかったストームシャドーも、今作ではイマイチ華のない顔に。

珍しく日本政府がロケ地を奨励して、積極的に誘致&補助金を出した洋画作品。
日本の街並み描写は一部を除いて本物なんだけど、姫路城にニンジャ一族が住んでたり、ヘンテコ日本描写は健在。

アクションは谷垣健治によるもので、派手でカッコいい画なのは及第点。
トミーの二刀流の構えが決まってる。
だけどあんまりニンジャ感は無かったかな。

ヒロインのアキコは、優秀なくノ一と見せかけて、割とポンコツ。
主人公の事を嫌ってたけど、中盤からは好意的になり、後半からは誰よりも彼を信じるようになる…こうして挙げてみると、結構王道にツンデレで可愛い設定だな。
トミーも「べ、別にアンタの事許した訳じゃないんだからね!今だけは共闘してあげるんだから!」みたいなツンデレな事言い出す。
あともう1人の敵側だったメガネ美女もそんな感じの事言って共闘する。ツンデレ多いな。

映画のクライマックスまで、主人公のスネークアイズは嵐影一族へのスパイをやってる訳で、その不義理は無駄に観客にストレスを与えている。
この映画に求められるのは単純娯楽の痛快劇なんだから、そこら辺に捻りはいらなかったのでは。

ラスト、スネークアイズが大騒動の原因で、沢山人死んだし姫路城爆散してるけど、ラスボスにトドメ刺したから、まあいっか!みたいなノリでその罪は有耶無耶に帳消しとなる。
でもトミーはラスボス戦で禁忌とされる力を使った責任を負わされ、一族の後継から降ろされる。
酷すぎる扱いの差。そりゃあトミーもキレて闇堕ちするわ。

公式が豪華吹替声優!と売り出してるけど、豪華声優を謳うのはクソゲー、とゲーム業界ではよく言われましてな…。
映画の内容はさておき、その吹替もイマイチな出来だったなぁ。
特に子安さんが良くない。
ねっとりしたアニメ演技は、今回の実写おっさんに合っていないのでは。