美しき愛の物語ではない作品。
予告編では、「イノセントスリラー」という括りになっていたけど、無垢で純真ではないかもしれない。
原題の「LET ME IN」がテーマだと思う。
本作は、スェーデンストックホルムを舞台にした「ぼくのエリ200歳の少女」の、ハリウッドリメイク版。
雪に覆われた田舎街で、12歳の虐められっ子の少年オーウェンと12歳くらいの吸血鬼アビーの出会い物語。
こういうリメイク版の作品は、見比べると楽しい。
どちらが良いかではなく、同じストーリーでも全く別の作品で、どちらが波長が合うかの違いだと。
「僕のエリ」は、映像表現と世界観が素晴らしい。
「モールス」は、ストーリー重視で共感できる。
二つの物語は「受け入れるか否か」がテーマで、スリラーでもないし、ホラーでもない。
悲しく残酷なファンタジー。
以下、ネタバレ含みます。
オーウェンとアビーの未来は明るくない。アビーのパパと名乗る人物と、いずれはオーウェンも同じ運命を辿るだろう。
アビーは、繰り返しそう生きてきたのだろう。
「アビーを受け入れる」ことは、善なのか悪なのか。
「モールス」では、母親の存在を徹底的に薄める演出をしていた。オーウェンの孤独を強調するためかな。
孤独なオーウェンとアビーの始まりの物語だと思う。二人の序章の物語。二人の孤独は埋まるのだろうか。
あと、この映画の中でモールスは主題じゃないな。原題のままにすればいいのにな。
2021年鑑賞 94本目す