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モールスのyukoのレビュー・感想・評価

モールス(2010年製作の映画)
3.6
バンパイア物ってなんでこんなに物哀しいんだろうなー。人間でも完全な化け物でもない、居場所のない悲哀と人間にもなれないジレンマに感情が揺さぶられたなぁ。フランケンシュタインとか泣いた赤鬼とか異形のモンスターの悲哀に通づる切なさがある。インタビューウィズバンパイアを観た時みたいな、哀しいような切ない気持ちが込み上げてきた。

みなさんレビューであげている、リメイクの元になっているぼくのエリは、ハリウッド版との違いを是非見比べてみたい。

そしてクロエちゃんの可愛さと演技力に完敗。やはりこの子には無条件でメロメロになってしまう自分がいる。主演の男の子の少年が大人になっていく時期のピュアで透明感のある演技が刺さる。切なくも美しいラブストーリーだった。

淡々として陰鬱な映像とストーリーの中にも、美しく切り取られた景色や思いがけないカメラワークがキリッと際立って引き締めてくれる演出は、派手さが無いからこそ緩急があり考え抜かれていると思った。

なんだか自分の中で忘れかけていた甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれたり、不思議な余韻の残る映画。邦題はモールスだけど、LET ME IN の意味を知ると原題の方がいいかも。
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